ハートに火をつけて③

1.不正はなかった


 ベ●ダー卿――じゃなくてジャッカルとの修行の翌日。

 俺は庵と何故か一緒に着いて来たアンヘルと共に天覧試合の予選大会にエントリーすべく一番近い区役所を目指していた。

 国を挙げての行事だからな。受付は役所で行うのだ。

 予選は来週からで、エントリーは三日前まで受け付けてる。

 だがこういうのは早い内に済ませておかないと落ち着かない性質なのだ。


「あの、カールさん?」

「カールさん? 知らない人ですね」

「………………兄様」

「何かな庵」

「その仮面、何ですか?」

「ああ、これか」


 俺は今、黒いドミノマスクを装備している。

 何故わざわざイケメンフェイスを隠しているのか? お答えしよう。

 俺としては天覧試合で派手に目立つのも悪くはないと思う。

 だが今の俺は酒場のしがない一店員。

 冒険者としてのサクセスを狙ってるならともかく、今、目立つのはちょっとね。


「俺目当てでバーレスクに客が殺到すると困るじゃん? だから変装してんのよ」

「……まあ、良いですけど」

「それとリングネームは謎の詩人仮面だからよろしく」


 キャラもバッチリ考えてきたぜ。

 具体的には詩をそらんじながら優雅に敵をぶちのめす感じ。

 普段の親しみ易い俺とは違うエレガンテな振る舞いを見れば誰も俺がカール・ベルンシュタインとは気づけまい――天才かよ俺。


「あの、参加申請を行うだけなら別に仮面必要ないですよね?」

「いや、折角買ったし被りたかったんだよ」


 あと、受付の人に当日はこれで戦いますよと事前に言っておきたくてな。

 何故かはまったく分からないが庵はどこか呆れた顔をしている。

 アンヘルはずっとニコニコしている……何か怖い。


「あ、ここだよカールくん」

「こんなとこにあったのか。知らんかったわ」


 住民票やら何やらは親父任せだったしな。

 それより、予選の受付は一体――お、あった! あったけど、あれ何だ?

 受付らしきカウンターの横にあるガラガラ。

 ほら、あのくじ引きとかで使うガラガラ。確か正式名称は……そう、新井式回転抽選器。

 新井式回転抽選器が何であんなとこにあるんだろ?

 登録者だけが引ける記念クジとかあんのかな? だとしたら楽しみだ。


「すんません、予選の受付お願いして良いっすか?」

「かしこまりました。登録料と、こちらに記入を」

「っす」

「……何故、役所の御方は仮面に触れないのでしょうか?」


 受付のお姉さんに金を渡してから登録用紙を受け取り必要事項を記入していく。

 ここには本名必要なんだよな。

 でも、リングネームを使う場合の欄もしっかりあるし”謎の詩人仮面”っと。


「お願いします」


「確認させて頂きます。はい……はい、確かに。

それでは予選参加者の証であるこのバッヂ――を渡す前に、こちらをどうぞ」


 お姉さんが隣の新井式回転抽選器を示す。


「これ、何なんすか?」


「今年から――って言うか昨日導入された新制度がありましてえ。

運もまた実力の内ということで、このクジで一等を引き当てた方は予選免除で本選出場が確約されるんです」


 困ったように笑うお姉さん。

 昨日導入された新制度って何それ? 現場、混乱するとかってレベルじゃねえぞ。

 一体どこの馬鹿なお偉いさんがそんなん提案したんだよ。

 無理だろ、無駄だろ、無茶だろ、可哀想だから止めてあげなさいよ。


「あの、導入以前に登録した人らは?」

「各所で告知をしていますので、足を運んで頂けましたら」

「はあ、そりゃまた……」


「まあ興味がなければ引かなくても問題ありませんので。

大体からしてここの抽選器に当たりが入っているかも分かりませんし」


 なるほど、どこで登録するかの時点で運試しが始まってるのか。

 面白いけど、こういうのはもっと早くに用意しとけよ。

 下々の者の苦労を知らない馬鹿な奴らはこれだから。


「あ、一応外れでも粗品を進呈することになってますので」

「国営店での割引券か。良いじゃん、引かせてもらうわ」


 当たりなど出るはずはない。

 だがタダで割引券を貰えるのはちょっとお得感。

 意気揚々と新井式回転抽選器を回し……出てきたのは白い玉、外れだな。

 当たりが何色かは知らんが白とか地味な色じゃねえだろ。


「あ」

「じゃあお姉さん、券貰うよ」


 平積みされている割引券を一枚取って去ろうとするが、


「ま、ままままままま待って! 待ってくだ……え、これ……ちょ……」

「どうしたの?」

「えっと……その、これ、一等……です……」


 ――――は?


 思わず後ろを振り返ると、アンヘルも庵も驚きを露に目を見開いていた。

 だが気持ちは分かる。俺だって未だ飲み込めていないのだから。

 一等、一等――え、一等!?


「え、えーっと……おめでとう?」

「あ、ありがとう」


 アンヘルの祝福の言葉に答える。

 え、マジでこれ夢じゃないよね?

 宝くじ、くじ引き、懸賞、アイスの当たり棒。

 どれ一つとしてこれまで当たりを引いたことのなかった俺が……は!?


 そうか、そういうことか。


(神は正義を成せと仰ってるんだな)


 絶対そうだ。それ以外にはあり得ない。

 俺の正しさを神が肯定し、道を拓いてくださったのだ。

 であればこれは驚きに値することではないのだろう。全ては天命。


「お姉さん、手続きとか必要なの?」

「え、えーっと……しょ、少々お待ちください」


 それから俺は心穏やかに各種手続きを済ませ本選出場の切符を手に入れた。

 役所の職員やら利用者からかなり注目を集めてしまったが是非もなし。

 神の使徒たるこの俺に神々しい光を見てしまうのは無理もないことだ。


「さて、神の思し召しにより天覧試合への出場が決まったわけだが」


 役所を出たところでチラリと庵を見やる。

 ん? 何やら顔色が優れないな。


「庵ちゃんどうしたの? 顔色が悪いように見えるけど」

「え……い、いえ……何でもありません。まだ、その、驚きが残ってて」

「ふぅん、そっか」

「二人共、バーレスクに行くぞ。こっからは道の往来でするような話でもないしな」


 二人を引き連れバーレスクへの帰途につく。

 ちなみにアンヘルは部外者だが修行を手伝ってもらう手前、一応の説明はしてある。

 義によっていたいけな童女の復讐を肩代わりすることになった、と。


「ただいま、伯父さん」

「ああ……おかえり、どうだった?」


 店に戻ると仕込みをしていた伯父さんが迎えてくれた。

 伯父さんにも事情は説明してある。

 とは言っても復讐代行云々は言ってない。

 あくまで天覧試合を目指すのでしばらく店に出る日を減らして欲しいとだけ。

 伯父さんは俺が怪我をするかもしれないと心配はしたものの、最終的には許可を出してくれた。

 その恩恵に預かっておいて言うのも何だが、ホント甥っ子に甘いよな。

 これ、子供が出来たらぜってー親バカになるわ。


「本選出場決まったよ」

「!? ちょ、ちょっと待て……登録に、行ったんだよな?」

「うん。ただちょっとね」


 経緯を説明すると伯父さんはポカーンと大口を開けて固まってしまった。


「…………どこの馬鹿貴族がそんなことをしたんだ?」

「さあ?」


 天覧試合に介入するぐらいだから木っ端貴族ではない。

 運営を取り仕切っている大貴族のどれか、或いはもっと上――皇子や皇女の仕業かもな。

 怪しいのは評判の良くない第一皇子と第二皇子あたりか。

 どちらも自分が次期皇帝だと嘯いて、その権力を徒にひけらかしてるらしいからな。


「……だがまあ、めでたいのは確かだ。今日の夕飯はご馳走にしよう」

「マジ? 楽しみにしてるよ」

「ああ……期待しててくれ」


 やり、今日は実に良い日だ。


「あ、先に部屋行っててくれ。飲み物持ってくから。アンヘルは場所分かるよな?」

「うん。それじゃ、行こっか庵ちゃん」

「…………はい」


「伯父さん、割る用のジュース貰って良い?」

「ああ……構わん……何か、摘まめるものも創ろうか?」

「良いの? じゃあお願い」

「サンドイッチで良いか?」

「うん、いーよ」


 こういうとこ気が利くよな、伯父さん。


「ふぅ」


 昨日の修行に、今日の当選。

 流れは今、完全に俺の方に向いていると言っても過言ではない。

 できればこのまま本選まで良い流れのまま進んで欲しいのだが……さて、どうなるか。

 幾ら神意を得たと言っても、世の中何が起こるか分かったもんじゃない。

 予期せぬ落とし穴がどこかに潜んでいるやも。


(他にも、気になることがあるしな)


 ぼんやりとこれからについて思いを馳せていると、


「……ところでカール」

「ん?」

「その……あの……あ、ああアンヘルさんとは……どうなんだ?」


 思春期の父親と息子かよォ!

 いや、年齢的にはその通りなんだけどさ。

 でもこれが親父ならどこまでヤった? 何ヤった? と遠慮なしに聞いてくるだろう。


「どう、ねえ」


 焦らす俺にそわそわと期待の視線を寄越す伯父さん。

 俺が甥だからってより、これは男同士の馬鹿話に憧れてるって感じだな。


(伯父さん、そういう経験なさそうだしな)


 別に隠し立てするようなことでもないので、

 色々あって最終的にSSRのフレンズ(意味深)って関係に落ち着きましたって答えても良い。

 ただ、免疫のない伯父さんには少々ハードだな。

 と言うか……フレンズ(意味深)ってのも今じゃ正確ではないか。

 何かさあ、色々尽くしてくれてるのを見てるとこう……ね?


 ま、それはともかくだ。


「伯父さんが想定している関係の三倍ぐらい先に進んでるんじゃないかな」

「さんば……!?」

「あ、出来たんだ。じゃ、貰ってくよ」


 サンドイッチが乗った大皿とジュースを両手にキッチンを後にする。

 悪いな伯父さん、また今度だ。


「うぃー、お待たせー」

「気を遣わせちゃってごめんね」

「申し訳ありません」


 どうでも良いけどアンヘルさん、ソファじゃなくベッドに座ってるのね。

 とりあえず降りろ、テーブル囲んで話し合うぞ。サンドイッチもあるしな。


「はーい」


 よしよし。


「んじゃま、食べながらで良いから聞かせてくれや」

「……」

「あー、やっぱ話し難いか? 時間はまだあるし、今日はやっぱ……」

「いえ、大丈夫です。無茶なお願いを聞いて頂いたわけですし……話します」


 オレンジジュースで軽く舌を潤し、庵は語り始めた。


「仇について語るよりも先に、まずは私自身の身の上を語りとう御座います」

「ああ、聞こう」

「御二人も何となしに察していると思いますが私は帝国の――いえ、大陸の人間ではありません」

「だろうな」

「やっぱり、葦原から?」

「……はい」


 葦原、大陸を出て海を越えた先にある極東の島国の名だが、ようはあれだ。

 この世界における日本的な立ち位置の国だと思ってくれれば良い。

 SAMURAIが居たり鎖国状態で外部との交流も殆どなかったりと、すげー似てる。

 俺もなー、機会があればいっぺんぐらいは行ってみたいんだがなー。


 っと、そうじゃないそうじゃない。


「帝国――ってより葦原の外に出たのはやっぱあれか?」

「御察しの通り、母を殺され我が身の命さえ危ぶまれたからです」

「薄々そうじゃないかと思ってたが、やんごとない御家の生まれなわけね」


 じゃなきゃ母親殺されたからって国を飛び出しはしないだろう。

 庵に生きていられると都合が悪い人間がいるから逃げざるを得なかったのだ。

 力も何もない子供を危険視するとすれば、そりゃあその身に流れる血しかあるまいよ。


「恐らくは……そう、だと思います」

「恐らくは?」


「はい。裕福な家だとは思っていましたが特別な家名でもなし。

御貴族様が家を訪れるようなこともなし。普通に暮らしていたのです――あの日までは」


 そう語る庵の表情は、とてもこの年頃の子供がするようなものではない。

 ああ、欝展開とかホント苦手だわ。

 それが小さい子供が経験したものなら尚更だ。

 ガキなんて何も考えずにヘラヘラ笑ってるのが仕事みてえなもんだろうに。


「ある夜のことです。突如、屋敷が炎に包まれました。

私は母や家人と共に外へ避難しようとしたのですが、その時、あの男が現れたのです。

奴の名は捩花凶衛――この国の呼び方に倣うのであればキョウエ・ネジバナ、でしょうか」


 偏見って思われるかもしれないけどさ。

 名前からしてもう、悪い奴感出てるよな。

 俺みたいに親しみやすい名前を見習えってんだ。カールだぞカール。


「突然の闖入者に家人らが私と母を護るべく前に出ました。ですが……」

「殺られたか」

「はい、気付けば首が飛んでいました」


 スラムのガキどもから聞いたが庵がスラムに流れてきたのは五年前のことらしい。

 となると、葦原を出た時は6,7歳だろう。

 そんな年齢の子供が人間の首が飛ぶシーンを見せ付けられたのだと思うと……嫌になるな。

 しかも、首が飛ぶのはまだ序の口。

 庵はもっと辛い母親が殺される場面も目撃しているのだ。


「凶衛は無手のように見えましたが……何か武器を使っていたのかもしれません」

「どうかな? 拳足だけでも人の首は刎ねられるぜ」


 ただ肉体を鍛えるだけでも可能だし、気を使えばもっと楽だ。

 俺でも同じ真似は出来るだろう。


「っと、すまん。話の腰折っちまったな。続きを頼む」

「はい。家人らの首が刎ねられ、唖然とする私と母に向かい奴はこう言いました」


 庵の呼吸が少し荒くなっている。

 あまりよろしくない兆候だが、一旦休憩にと言っても聞きはしないだろう。


「”とあるやんごとない御方がね、君らに生きていられると困るんだってさ”」


 それは、


「”だからまあ、死んでくれる?”」


 それは、血を吐くような告白だった。


「ケラケラと笑いながら、奴はそう言ったのです」


 今、この子の心の傷口からは止め処なく血が流れているのだろう。


「そして母が何かを言うよりも早く母の首を掴み……掴み……」


 それを癒す言葉を、


「――――生きたまま焼き殺したのです」


 少しでも痛みが軽くなるような言葉を、俺は持っていない。

 ただただ黙って聞くことしかできなかった。


「母の叫喚を聞きながらゲタゲタと笑うあの顔は、一生忘れられない……!!」


 焼死、焼死か。

 母親が死ぬところを見せ付けられるだけでも想像を絶する苦痛だろうに死因が酷過ぎる。

 生きたまま焼かれるなんて地獄以外の何ものでもない。

 一番苦しかったのは庵の母だろうが、庵自身にとっても地獄だったはずだ。


(にしても……炎を操る力か)


 首を掴み焼き殺したと、庵はそう言った。

 となると、油か何かぶっ掛けて火を点けたわけじゃなさそうだ。

 今思いつくのは魔法か、気の属性を炎に変えているのか。

 もしくは俺の知らない葦原神秘の力か、この三つだ。

 だが天覧試合は純粋な武の大会。

 魔法の使用は禁じられているから魔法だった場合は気にする必要はないだろう。

 気の場合は問題はない……とは断言できないが、対策は考えられる。

 問題なのは葦原神秘の力。

 ってより魔法でも気でもない完全に未知なる力由来のものだった場合だ。

 しかしまあ、その可能性は低いと思う。


(一番可能性が高いのはやっぱ二番目かな)


 無手で人間の首を飛ばしたという事実、天覧試合への本選出場は確実だろうという実力。

 これらから鑑みるに気を扱う拳士でほぼ間違いはないと思う。


「ねえ庵ちゃん、一つ良いかな?」

「ッ……はい、何でしょうか」

「どうして庵ちゃんは生きてるの?」


 あ、言われてみればそうだ。

 自分と母が生きていると困る人間がいる、庵は凶衛からそう聞かされたと言った。

 ならば庵も死んでいなければおかしい。

 ひょっとして、母親が最後の抵抗でもして庵を逃がしたのか?


「……」

「庵?」


 俯き身体を震わせる庵。

 その表情は窺えないが、決して愉快なものではないだろう。


「……好きだから」

「え」


「自分に大切な誰かを奪われた者が憎しみや悲哀に囚われたまま、

苦痛に喘ぎ生きる様が好きで好きでしょうがないから――だそうです」


 …………真性の屑だな。


「そうして私はその場では見逃されましたが」

「凶衛を遣わせた誰かが命を狙って来たから葦原を飛び出した、と」

「はい。いつか、いつか必ず凶衛に復讐を果たすために」


 本当は黒幕も八つ裂きにしてやりたいのだろう。

 だがそれを知る術がないから、せめて実行犯である凶衛だけでも……と。


「分かった。幾つか、質問良いか?」

「はい、私に答えられることなら」

「じゃあ」


 その後、幾つか質疑応答を交わしたが凶衛に関する情報は殆ど得られなかった。

 予選会場に足を運んで実際に戦っている姿を見るのが一番だろう。

 庵は話を終えると気分が悪くなったのか足早にバーレスクを去って行った。

 土産にサンドイッチは渡したが、あの様子じゃ今日は何も食べられそうにないな。


「……ねえ、カールくん」

「何も言うな」


 庵を見送った後、アンヘルが神妙な顔で話かけてきた。

 言わんとすることは分かる。

 ああ、腑に落ちない点が幾つもあるもんな。

 例えば、スラムの小娘がどうやって凶衛の天覧試合出場を知ったのか。

 現段階じゃまだエントリーした選手の名前すら公表されてないんだぜ? おかしいだろ。

 他にも俺に話を持って来た際にカースが拾った若干おかしな声とかな。

 何となしに背景が見えなくもないが、


「分かった上でやるんだよ」


 庵の凶衛に対する復讐の念は本物だし、

 もし俺が凶衛を殺れば抱かせてくれるというのも本当だろう――なら、十分だ。


「嘘を肯定するのは恋愛絡みだけじゃなかったの?」

「”だけ”とは一言も言ってねえよ」

「でも……」

「俺は俺が一番すっきりする生き方を選ぶ、ただそれだけだ」


 庵を問い詰めたり、その背後を探ったりするやり方は”気持ち良くない”。

 だから今、考えるべきはどうやって凶衛を殺って庵を俺のものにするかだ。

 それ以外を考える必要はない。


「分かった。じゃあ一緒に考えようか」

「おう……アレがあったら、もうちょい気は楽なんだがなあ」

「アレ?」

「ああ、まあ言っても分からんと思うけど」


 そもそもこの世界には存在してないし、今から造れたとしても俺が望む質に達するまでどれ程かかるやら。

 無いもの強請りするより今あるカードで――ってあん?


 アンヘルがくいくいと俺の服を引っ張っている。


「分からないかもだけど、聞くだけ聞いても良いかな?」

「え、お、おう……別に構わんが……」


 妙な迫力に否とは言えそうになかった。

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