オグリキャップおまけ 「レベルの低い」有馬記念! 一覧
先のエピソードで挙げた、当日行われた900万下条件戦グッドラック
グッドラックHが有馬記念と同日に行われるようになったのは1988年からです。
これはJRAが何を考えて番組を組んだのか、意図がわかりません。
おかげで「条件戦より遅いタイムの決着でレベルは低かった」とオグリキャップの勝利に味噌を付けるような言われようになってますが、元々は亡き競馬評論家の大川慶次郎氏が言い出したことのようです。
大川氏は1957年頃から競馬評論家として活躍されていた方で、1961年9月3日の東京競馬場で開催された全レースを的中させたことで「競馬の神様」と異名を取った人物です。
大川氏も非常にご自身の競馬理論を持っている方であり発言に骨っぽさを感じるのですが、オグリキャップが勝利した有馬記念のフジTV中継内でオグリキャップの勝利を認められたまでは潔いなと思いましたが、直後にこうした少々貶める言説を出されたことについてはどうなのかなあ? と思います。
大川氏にとっては、自分から見て勝てるはずがない程に衰えたと判断したオグリキャップが勝ったという有り得ない結果だったので、衰えたオグリキャップでも勝てる程レースレベルが低かったと言える要因を見つけて嬉しかったのでしょうね。
「当日の900万下条件戦よりもタイムが遅かったからレベルは低い」
大川氏、けっこうこれは生涯の最後に競馬そのものに皮肉で返されてますね。
大川氏は生前、1999年の有馬記念の勝ち馬はグラスワンダーだと予想されていたそうですが、1999年12月26日に開催された有馬記念を見ることなく12月21日にお亡くなりになりました。
26日の有馬記念の結果は、グラスワンダーがスペシャルウィークをハナ差で交わし2分37秒2のタイムで優勝しました。
予想が当たった大川氏は天国で喜んでいたことでしょう。
ただ、当日のグッドラックHの勝ち馬サイレントセイバーの2分35秒8よりも、グラスワンダーのタイムは遅かったんですけどね。
同日の条件戦よりも遅いタイムでの優勝ですから、やっぱりレベルが低いレースだったってことなんですか?
天国の大川氏に、このことについてお聞きしてみたいものです。
おそらく、決してこのレースを貶めるようなことは言わないだろうと思いますけど、素直にオグリキャップのレースに言ったことは撤回してくれるといいなと思います。
まあそれはさておき、「グッドラックHと同タイムか遅い勝ち時計の有馬記念」は1988年から2022年までの34年間の間に全部で5回あります。遅かっただけなら4回なんですが、900万下条件と同タイムっていうのも、まあ挙げちゃおうかってところで。
だってGⅠ馬が900万下条件馬と同タイムって、ねぇ。 って貶めようと思ったら言えちゃうってことで。
以下その有馬記念勝利馬と2着馬、着差、タイムを列記し、グッドラックHの勝馬とタイムも記します。
1990年
(
グッドラックH勝馬 フジミリスカム 2分33秒6
有馬記念レース動画
https://www.youtube.com/watch?v=d0ZIUa6zALs
1999年
グラスワンダー 2分37秒2
(スペシャルウィーク) ハナ
グッドラックH勝馬 サイレントセイバー 2分35秒8
有馬記念レース動画
https://www.youtube.com/watch?v=AaVij6k6CE0
2001年
マンハッタンカフェ 2分33秒1
(アメリカンボス) 1と3/4
グッドラックH勝馬 キングザファクト 2分33秒1
有馬記念レース動画
https://www.youtube.com/watch?v=6JFUWouRmy0
2011年
オルフェーブル 2分36秒0
(エイシンフラッシュ) 3/4
グッドラックH勝馬 コスモロビン 2分33秒3
有馬記念レース動画
https://www.youtube.com/watch?v=ereqD8MyXW0
2014年
ジェンティルドンナ 2分35秒3
(トゥザワールド) 3/4
グッドラックH勝馬 レイズアスピリット 2分33秒8
有馬記念レース動画
https://www.youtube.com/watch?v=nmkk-aWGwrE
マンハッタンカフェは普通ならタイム的にここに入らないんですけど、グッドラックHの勝馬、キングザファクトが頑張りましたね。おそらく歴代のグッドラックHの勝ち時計最速。次の年GⅢダイヤモンドSを制した馬ですから力はあったみたいで、鞍上の蛯名騎手も力が入ったのか。まさか同じ日のレースに騎乗したマンハッタンカフェと同じ勝ち時計を出すとは、蛯名騎手も喜んだんじゃないでしょうかね。
この「グッドラックHの勝ち時計よりも遅い決着の有馬記念」は、グッドラックHの勝馬が2分33秒台のタイムを出した時に有馬記念がスローペースになると時々起こるようです。
有馬記念の勝ち時計が2分34秒台以下だったけれど、グッドラックHの勝馬のタイムが2分35秒台以下だったため惜しくも? レベルが低い? レースにならなかったのは次の3頭。
1997年
シルクジャスティス 2分34秒8
(マーベラスサンデー) アタマ
グッドラックH勝馬 ホッカイゲラン 2分37秒7
有馬記念レース動画
https://www.youtube.com/watch?v=VFIxNtfKtHs
2000年
テイエムオペラオー 2分34秒1
(メイショウドトウ) ハナ
グッドラックH勝馬 コスモブレイザー 2分36秒4
有馬記念レース動画
https://www.youtube.com/watch?v=k597ABpQhF0
2020年
クロノジェネシス 2分35秒0
(サラキア) クビ
グッドラックH勝馬 ディアスティマ 2分35秒7
有馬記念レース動画
https://www.youtube.com/watch?v=5YMIYW-JFWg
こうして見ると、結構名馬と言われる馬の方がこのパターンにハマることが多いですね。
近年ジャパンカップで一年を手仕舞いする有力馬も見られる中、そうは言っても有馬記念はグランプリレースだけあって、複数の有力馬が出走してきます。
明確な逃げ馬不在であったり、有力馬がけん制し合ったりするとスローペースになる展開になることも多く、そうしたレースではやはりゴール前での底力がモノを言う、本当の強さが無いと勝ちを取れないレースになっていると思いませんか?
レベルが低いどころか、こんな名勝負はないと思わされます。
記入したYouTubeアドレスからレース動画を確認していただきたいのですが、名馬が勝ちをもぎ取った、そんな底力を感じさせるレースばかりです。
結局競馬はタイムが全てではないことをこれらのレースは証明してくれているのです。
ですから「所詮は同じ日の条件戦のタイムより遅い、レベルの低いレースなんだよね」という言説をぶつのは、ご自身が所詮は半可通であると言っているのに等しいのでお止めになるのがよろしいかと思います。
大川氏が存命の間は、確かにオグリキャップただ1頭だけがこのパターンだったことと「競馬の神様」が言った事だから説得力がある、と定着した説ですが、その後こうして複数このパターンに当てはまる例が、しかも強いと言われる馬が勝ったレースで出てきているのですから、ちょっとは競馬ファンもアップデートしないとですね。
そして、グッドラックHの勝馬たち。
彼らも能力的にGⅠに出れていれば、もしかしたら勝ち負けの可能性が無いこともなく、それなりの能力は持っています。
ですが後に重賞制覇まで上り詰めた馬はマンハッタンカフェの年のキングザファクトくらいですかね。
OPまで上がれても着外を繰り返して引退とか、条件戦を脱出できずに障害転向などが殆どです。
結局、能力をコンスタントに発揮できるかどうか、そこがおそらくGⅠの舞台まで辿り着ける馬たちとの違いなのでしょう。
今後、グッドラックHを有馬記念勝ち馬のタイムよりも速いタイムで勝ち上がり、そのまま後にGⅠを制する馬が出てきたら面白いですね。
見てみたいです。
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