勇者ヨシヒコと魔王の城
皆様、お正月はいかがお過ごしですか。
私、元旦の本日は、妻の為に雑煮を作り、昨日から今朝方まで降り積もった雪を片付けして、でほぼ一日潰れました。
妻が夜勤に出勤した後はのんびりしようとTVを見ておりましたが、お正月番組ののんびりさに中てられたのか、見事にコタツ寝してしまいました。
で、起きたら付けっ放しだったTVのCMでauの三太郎シリーズの最新バージョンが流れてたのですが、これがRPGゲーム風の演出で巨大な鬼を倒すというもので、移動できない見えない壁に引っ掛かりながら走る姿とか、攻撃を受けてダメージ量が表示されたりとか、味方の攻撃のエフェクトとか、RPGゲームを再現してるなあ、とボーっと思いました。
それでこのCMを見てふと思い出したのが「勇者ヨシヒコシリーズ」です。
皆さんご存じだと思いますが、福田雄一監督、山田孝之主演の「予算の少ない冒険活劇」勇者ヨシヒコシリーズは、世界観はドラゴンクエストシリーズから取られてます。
敵のハリボテスライムとか低予算感バリバリに出ていていい感じです。
ちゃちい「くさったしたい」とか。
あと民家に1列数珠繋ぎになって入って行き置いてあるツボを片っ端から割ってアイテムを探したりとか、低予算の中、けっこうクスリと笑える作りで楽しめるギャグドラマのシリーズです。
さす福。
「勇者ヨシヒコと魔王の城」
「勇者ヨシヒコと悪霊の鍵」
「勇者ヨシヒコと導かれし七人」
の3作品が作られており、どれも気楽に見れて楽しめるギャグドラマですが、私が初見で「これ、もしかして凄く深くね?」と思ったのがシリーズ第1作目の「勇者ヨシヒコと魔王の城」でした。
ドラマの終盤で、ヨシヒコと仲間たちは魔王の城下町に乗り込みます。
魔王の城下町は現代の東京です。
予算が少ないが故だとは思うのですが。
ビルが多く建ち並び、どのビルが魔王城かわからないヨシヒコ達は、集団で行動するのではなく各自ばらばらに城下町に潜入して魔王城を探そう、と各々が単独行動を取ることになります。
ばらばらに魔王の城下町に散ったヨシヒコ達4人ですが、自分たちの世界とは違って公園で焚火もできない東京の世知辛さに戸惑いつつも、やがて順応していくのです。
ヨシヒコが暑い中ジョッキのビールを飲み、エアコンの効いた部屋で眠り、バイト先での人間関係も深め淡い恋心を抱く相手もできるなどしていくうちに、魔王討伐の使命よりも、現状の快適な生活を優先するようになっていく。
ヨシヒコの仲間たちも同じです。
キャバクラやメイド喫茶に入り浸って楽しんでいたり、女優としてスカウトされ人気が出て、周囲をアゴで使ったり。
皆完全に魔王討伐よりも現代東京での生活を優先し、享楽的に生きています。
私はここのシーンを見ていて、確かにこれは不便な世界から来た人にとっては抗えないなあと、魔王の城下町を現代東京にしたのって、快適さは使命感や責任感を鈍らせ腐らせる魔王の罠だって意味なのか、と感じました。
現代の日本でも、上京した人なんかは東京のこうした魅力に囚われてるって面は確かにあるな、志を抱いて東京にやって来ても、日々の生活の快適さが目的になって当初の志は段々と遠くにいってしまうな、と、そんな深読みまでしましたね。
蒸し暑い中で(撮影した時本当に暑かったのかはわかりませんが)山田孝之がジョッキで飲む生ビール、あれはその味を知らない人が飲んだなら、下戸じゃない限りどんな志でも鈍りますね。
山田孝之、演技上手すぎですわ。
エアコンの効いた部屋で眠りにつく時の安らかな表情なんかも、わかりみが強すぎる。うん、幸せな表情になるね。
でまあ、こんな体たらくの勇者一行ですが、当然魔王を倒さないと彼らの世界はピンチが危ない訳です。
それで、魔王討伐を忘れた勇者ヨシヒコに魔王討伐の志を思い出させるため、ヨシヒコがバイトしている居酒屋に彼らの旅を導く「仏」の佐藤二朗が客として姿を現すのです。
これまで「仏」はヨシヒコ達を導くとは言いつつも、空の上から凄く適当なお告げしかしてこなかった適当キャラなのですが、この場面では「仏」らしく真剣にヨシヒコに説きます。
シリーズ3作通じても、「仏」がこんなに真面目に語ったのはここだけです。
結果ヨシヒコは魔王討伐という志を取り戻し、他の仲間たちも説得して魔王討伐に向かいます。
説得が簡単に行くのはギャグドラマですから。
最終話でかなり苦戦して魔王を倒しますが、それはまあ置いておいてですね、文明の魔力、東京の魔力みたいなものをえらく判りやすく表現したってところが深いなあと勝手に思ってます。
あと、このシリーズは、チョイ役でけっこう大物が出てたりします。
小栗旬とか菅田将暉とか出てますが、個人的にはブレイク前の中村倫也がマザコン盗賊として出てたのを見つけてちょっぴり嬉しかったですね。
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