四話 ギルド登録
「え⁉︎お前、魔法使いだったの?」
あのあと、しばらく直人とミーヤはお金を払うかどうかで喧嘩になったが、ミーヤがお金を持っていないという事で、冒険者ギルドに張り出されてるクエストを一つだけ一緒のパーティで行い、その報酬を直人が7割、ミーヤが3割という結論に至った。
「そんなに驚かないでもいいじゃないですか!」
「だってお前!つけてる装備が思いっきり騎士ぽっいじゃんか!」
ミーヤは騎士の装備をつけておきながら魔法使いをやっているのだから直人が驚くことも無理はない。しかしミーヤは実際、騎士に憧れを持っていた。
「だって騎士はカッコいいから、装備が騎士っぽくてもいいじゃないですか!そう、あれは私がまだ幼い頃……」
ミーヤが急に昔の騎士との思い出を語り出したところで、直人は聞こうともせずに歩きだす。
「はいはい、今も幼いよ充分」
「なっ⁉︎誰が貧乳ロリですか⁉︎」
そんなこんなでしばらく歩いた2人は、冒険者ギルドにたどり着いた。
「あぁぁぁぁ!!」
急にミーヤが何かを思い出したように叫び出す。
「なんだよミーヤ!うるさいぞ!」
「あなたの名前、私知りません!」
「そんなことかよ!いちいち叫ぶなよ、これだから子供は」
「誰が、貧乳ロリですか?」
子供扱いされたミーヤはほっぺを『プクーッ』と膨らませ直人を睨む。
「まぁ、いい!名乗ろう!俺の名前はアレキサンダー・ジョセフ!」
直人はカッコをつけながら思いっきり嘘をついて自己紹介をした。
「嘘ですね?あなたのようなクズでヘタレで最低な人間にそんな強そうな名前が付くはずありません!」
ミーヤに嘘をすぐ見破られた直人は『チェッ』と唾を吐く。
「直人だ!よく覚えておけよ。なんせ俺はこの世界の勇者的存在になる男だからな!」
また出鱈目なことを言った直人に、ミーヤは『へっ』とバカにしたように笑った。
「おいお前!何バカにしてんだー!調子乗んなよロリ野郎!」
そう言いながら直人は両手でミーヤのほっぺをつねる。
2人が騒いでいると後ろから大男が近寄ってきた。
「調子乗ってんのはどっちだごら!」
お怒り気味の大男の靴の上には、吐きたてに見える新鮮な唾が光っている
それを見て全てを察した直人は、
「か、カッコいい靴ですね……」
余計に怒らせるような発言をする。それを聞いた大男は直人の胸ぐらを掴み上げて言った。
「ざけんな小僧!」
「ひぃえぇぇ!!」
大男に思いっきり怯えている直人を見たミーヤは大男の前に立って、足をプルプルさせながらも勇気を振り絞って口を開く
「調子に、なんか、乗ってません!私と直人の、最強のパーティはいつか勇者的存在になるんですから!」
ミーヤの必死のフォローを受けた直人は掴まれている胸ぐらを振り払い、ミーヤを指さす。
「おい!ミーヤ!勇者的存在になるのは俺だけだ!お前を入れた覚えはないぞ!」
「ちょっと直人!私がせっかくいいフォローしたんだから、そんなこと言わないでください!」
「なんだと⁉︎このロリ貧乳!騎士気取り!弱小魔法使い!」
「なんですと⁉︎そっちそこクズでヘタレで最低なくせにぃー!」
急に喧嘩は初め出した2人に大男は痺れを切らす。
「お前ら!俺のこと忘れんな!せっかく悪党感出しながら物語に乱入できたのに!」
「うるせぇ!こっちは今取り込み中なんだよ!」
「そうですよ!図体だけのバカ男!」
2人の教科書に載せてもいいほど綺麗な逆ギレに大男はドン引きする。
「俺はどうやら関わる奴や間違えちまったようだ。ここは一旦引くとしよう。」
そう言って大男は逃げるようにどこかへ走っていった。
そして2人は我に帰り、喧嘩をピタリとやめた。
「あ、行っちゃいましたねー」
「そうだな」
「じゃぁ、ギルド登録しに行きましょう!」
「そうだな」
ミーヤのギルド登録は済んでいるが、直人なギルド登録をしていないため、2人は受付で登録をしに行った。
「では、こちらの石板に手を当てくだい」
受付のお姉さんが直人に丁寧に説明しているのにも関わらず直人は、
「俺的にはー、お姉さんの胸に手を当てた方がステータス上がると思うんですよぉ〜」
美人の受付お姉さんにナンパ中である。
数分後、顔の右側に赤い手の痕がついた直人が石板を持ってミーヤの元へ戻ってきた。
「直人!ステータスはどうでしたか?」
「終わった!俺の異世界ライフ」
落ち込んだ様子で見せている直人の石板には、
力 10
守り 10
速さ 10
知力 10
魔力 10
職業 冒険者?
と、記されていた。
「普通ですね!」
「そうなんだよ!一番やっちゃいけない奴だよコレ⁉︎弱いなら弱いで面白いじゃん!強いなら無双とかできて楽しいじゃん!何⁉︎普通ってある⁉︎しかも『冒険者?』ってなんだよ⁉︎はてなが一番ムカつくわ!」
どうしようもないことに愚痴をこぼす直人をミーヤは呆れた目で見ながら『へっ』とバカにする様に鼻で笑った。
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