三話 ミーヤ
少女が3人の盗賊に襲われているのを見て直人は、
「この、ロリコン3人組ー!いくらなんでもロリコンすぎんだろ!」
建物の影に隠れて煽った。もちろん気づかれている。
「おい、お前!俺はロリコンじゃねぇ!」
3人のうちの一人がそう言うと、残りの二人も続いて言った。
「そうだ!僕はもっと巨乳でセクシーなお姉さんが好きなんだ!」
「オイラは、胸はそこそこでいいから、お尻とかの全体的にいい体の女がタイプだ!」
そして、盗賊3人と直人は口を揃えて言った。
「「「「貧乳はないよなぁー」」」」
それに対して、貧乳でロリ顔の美少女は言い返えす。
「私を幼女扱いするなぁ!私だってこれからなんですよ!」
怒った少女に、3人の盗賊は大笑いした。
「「「がっはっはっはっはぁー!」」」
直人はその隙に、少女の手を取り静かに『逃げるぞ』と言ってバレないように走り出す。
すると、
「そうはいかねぇよ、にいちゃん!」
盗賊のうちの1人にバレて、直人と少女は足を止める。
「い、いやぁー。俺、実はロリコンだから……」
その言葉に少女は俯いて顔を赤くする。
「——逃すわけねぇだろ?」
残りの二人も続いてきた。
「そうだ!そうだ」
「んだ、んだ!」
そして、3人は横一列に並んで何かを始める。
「俺の名は、チク!」
「僕の名は、ビガ!」
「オイラは、スキ!」
自己紹介を始めたと思いきや、次は口を揃え始め、
「「「三人合わせて……チクビガスキ(乳首が好き)!!」」」
下ネタをさけび出した。
「お前ら名前繋げたらカッコよくなるなぁー。って事で、バイバーイ!」
そう言って逃げようとしたその時、
「——なんだ⁉︎」
直人と少女の足元に魔法陣が現れ、二人は動けなくなる。少女はまだ俯いたまま顔が赤い。
「う、動けない!おい、ロリ!顔赤くしてないでなんとか言え!」
「あ、赤くなんてないですよ!この、ロリコン!」
焦る二人を見ながら、盗賊3人が近寄ってくる。
「今の言葉はな、俺ら3人の力で構築した束縛魔法だ!どうだ、すごいだろ!」
自慢げな表情を浮かべる盗賊3人に向かって、直人は言った。
「この下ネタ魔法使いめ!あんな事よく言えるな!この変態盗賊!」
この煽りに痺れを切らした盗賊達は腰に付いているナイフを引き抜いた。
「なんだと⁉︎やっちまえー!」
「うぉぉぉぉぉ!!」
盗賊が殺意剥き出しでナイフで切りつけようとした時、
「——待て!」
直人のその一言で、盗賊は動きを止める
「俺に本気を出させるとどうなるかわかってんのか?」
「ど、どうなるんだ一体⁉︎」
「……助けを、呼ぶ」
男としてヘタレで、助けに入った者として最低の発言に、盗賊達はドン引きする。
「こいつ、相当のカスだ!こんな奴殺せねぇよ!」
そして、直人は大きく息を吸い込み思いっきり腹から声を出した。
「助けてぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!誰かぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
「こ、こいつ、本当にやりやがった!このヘタレ!」
直人の爆音とも言える声はすぐに街中に響き渡り、街中が騒ついた。
「お前ら、ここは撒くぞ!兵隊が来ちまう!」
盗賊達は捨て台詞を吐いて、どこかへと逃げていった。
束縛魔法に縛れること数分、直人たちの元へ兵隊が駆けつけた。
「大丈夫ですか⁉︎今、魔法を解きますね」
直人はほっとした表情を浮かべていたが、少女はまだ俯いて顔を赤くしている。
「よし、解けた!やっと自由だ!」
「……」
「おい、ロリ!いつまでそうやってモジモジしてるんだよ!いい加減にしろ」
直人がそう言うと、少女はモジモジしながら顔を赤らめ、涙目になりながらも上目遣いで口を開く
「だ、だって!さっきロリコンって言ってた!……だから、その、私のこと、す……なのかなっ、て……」
少女は直人が山賊から逃げるときの口実であった、『い、いやぁー。俺、実はロリコンだから……』を真に受けて、見た目がロリの自分を好きなのだと勘違いしているのだ。こういうのの察しが悪い直人は、
「あー!もう!お前名前は?」
「み、ミーヤです」
「ミーヤ!俺に金払え!助けた代だ」
直人のクズ発言を聞いたミーヤは一瞬でデレをやめ、それを怒りへと変換する。
「……この、クズ男ぉぉぉぉ!!」
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