二話 異世界で
「痛てぇ。なんだよ!ついてねぇなぁ」
「そうだね、なおとくん」
気づけば、2人はどこかもわからない世界の草原に倒れていた。
「ってかなんでお前もいるんだよ⁉︎」
「まぁ、君が僕を殴ったから、転生魔術に不具合が起きてね。あと、3時間ほどは戻れなくなっちゃったんだよ」
直人が殴った影響で、キモ神は翼とさっきまでつけていたキトンのような服もなくなっていた。つまり、全裸だ。
「おい、お前なんで全裸なんだよ!オッサンの全裸なんて誰も求めてねぇだろ!」
「大丈夫だよなおとくん。私の姿は君にしか見えないようになっているから。私の体は君だけのものだよ♡」
直人は全身に寒気を感じた。
「顔もキモいんだから、キモいこと言うんじゃねぇ。鳥肌立つだろクソが」
馬鹿なやりとりをしつつも2人は草原を歩き出した。
「おい!転生させたぐらいだから、どこ行けばいいとかわかるよな?」
「もちろん!私は神だぞ。私に不可能はない」
キモ神は、胸を張って堂々と宣言する
「いや、全裸のオッサンがそれ言ってもカッコいいどころか、吐き気と寒気しかしないわ」
そんな会話をしながらも、2人は草原を歩き続けた。
しばらく歩いていると、遠くに街が見えてきた。時計台のような長い建物が目立つ古風な街並みが広がっていた。
「おい!あれみろよ!あの時計台、ち○こみたいじゃね?」
「あれは、私のちん○よりも立派ではないか!」
馬鹿な言葉を交わし合った2人は、歩き疲れたはずの足を頑張って動かす。
そして、
「「ついたー!」」
2人は達成感と疲れでその場に座り込んだ。
「いやぁー、お前も少しは役に立つな!」
「だから言ったであろう?私についてこればたどり着くと!」
「だから、全裸のオッサンがそんなこと言ってもかっこよくねぇんだよ!」
もちろん、この会話はキモ神が見えない街の人からすると直人が独り言を言っているやばい奴にしか見えない。その状況を察した直人は疲れていたが、立ち上がった。
「よし!街を散策するか!」
「待て!なおとくん。どうやら私はここまでのようだ」
キモ神がそう言うと、キモ神の裸体から白い光が輝きだす。
「なんだ?モザイクか?」
「違うよ、なおとくん!私とは、もうお別れってことだよ」
それを聞いた直人は全く表情を変えずに、いや、少し嬉しそうに言った。
「マジ⁉︎バイバーイ」
「全く、人情のかけらもない奴め!まぁいい。何か最後に言いたいことはないか?」
「あっ、そうだ!歩いてるときに思ったんだけど、お前が俺のエロ本盗んだんだろ⁉︎そうだろ⁉︎クソッ、逃すかこの変態キモ神ぃー!」
その言葉を聞いたキモ神は、爽やかな笑顔でカッコをつけながら元の世界へと戻った。
「最後の最後までキモかったなあいつ!」
そして、街の人々からまた独り言を言ってるやばい奴みたいな目で見られてることに気がつき早歩きでその場を後にする。
「もー、キモ神のせいで散々な目に遭ったぜ」
直人はイライラしながら歩いていると、さっき遠くから見た時計台の麓にいた。
すると、
「おい、ちびっこ!その装備、俺らにくれよ!」
「嫌です!あなた達みたいな盗賊に渡す品などありません!あと、ちびっこじゃないです」
騎士のような装備を身にまとった少女と、あからさまに悪者っぽい男3人が何やら揉めていた。
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