第一章 異世界で
一話 転生
「いってぇーなぁー。あれ?痛くない。いや、それよりあの運転手ちゃんと前向いて運転しやがれ、クソッ!」
まだ死んでいることに気がついていないマヌケでクズな少年は急に慌てだす。
「あれ?俺のエロ本が……ない⁉︎」
「——静まれ!少年よ!」
慌てている少年の前に光り輝く翼を持った人らしき存在が話しかけてくる。
「な、なんだテメェ⁉︎」
「よく聞け!お主は死んだのだ、
その存在のからは神々しい光がはなたれており、直人からはその全貌がはっきりと見えていない。
「嘘だね。ってゆうか、なんで俺の名前を知ってるんだよ⁉︎このピカピカ神気取り!」
指をさしてクズ発言する直人に、その存在はため息をこぼす。
「はぁぁ。いいか、お前は死んだのだ。認めるのだ。そして、その若さで死んだお前に私が神として責任を取るのだよ。あと、ワシはピカピカ神気取りではない!神じゃ」
何かを察した直人はすぐに態度を改める。
「まさか⁉︎いやー、やっぱり神様は最高っすわー」
「ふっ、単純な奴め。よし、これからお前が察したとうり転生をさせるぞい!」
転生という夢のような言葉を聞いた直人は、とても感動した。
「てん、せい。マジかよ⁉︎転生かよ⁉︎最高じゃんか!」
「そう慌てるでない。転生後の世界で死んだら今度こそ、終わりじゃからな!覚えておけよ」
「あの、気になったんだけど、なんでこんなに良くしてくれるんだ?」
この質問は実に純粋だ。直人が自分で買ったエロ本を読み歩きした結果死んだのだから、神が責任なんて取らなくてもいいのだ。だからこそ、直人は気になった。
そして、神は口を開いた。
「それはな、ワシも、エロ本が好きだからじゃ!エロ本を読むのの何が悪い!モテない男の救いではないか。ワシはずっとそう思いながら何十年も何百冊のエロ本を嗜んできた!だから、そんな神と等しいと言っても過言ではないエロ本様を読んでる途中で死んだお主を、ワシは救いたかったのじゃ」
瞬間、直人の目から涙がこぼれ落ちてくる。こんなにもエロ本で共感できることが、死ぬ前まではなかったからだ。
「神様ぁーーーーーー!」
直人は、神に向かって勢いよく抱きついた。
「俺、こんなにもエロ本をわかってくれる奴今までいなかったんだよ!大好き!神様ぁ!」
しかし、直人は違和感を感じた。
「あれ?なんか、とてもボリューム感があって柔らかいものが……まさか、実は神様、女の子だったりし——」
またもや直人は何かを察して、神様を見上げる。
「誰じゃ!このオッサン!」
「いやー、大好きだなんて照れるよ。な、お、と、く、ん♡」
そう、さっきまでは神々しい光で直人からは全貌が見えていなかったが、実はこの神、デブのオッサンが天使のコスプレをしたよう姿なのだ。
「いやぁぁぁ!!!早く転生させろやぁぁ!!」
「もう、釣れないこと言わないでよ!な、お、と、く——」
「転生させろって言ってんだろぉぉ!!」
直人はそう叫びながら、キモ神の顔面に思いっきり拳をぶつけた。
「ぶごぉぉ!」
キモ神が気持ち悪い奇声を上げた瞬間、光が2人を包み込んだ。
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