第16話 手土産

魔法陣で転移したエクステティア達が着いたところは先程の薄暗い地下とは一変煌びやかな一室だが、エクステティアはそんなものよりも他のことで頭がいっぱいになっていた。


(な、何やってんだ俺。少しやりすぎた。絶対あいつら内心引いてるぞ。あぁ、恥ずかしすぎる。)


恥ずかしさで少し熱くなった顔を冷ますように深呼吸をする。しかし、そんな隙は与えないとばかりに追い討ちがかかる。


「旦那様先程の妾の誓い快く受け入れてくださり誠にありがとうございます。誓いを受け入れてくださった時のご主人様は美しいと言う言葉に収まりきらないほどの………だ、旦那様?」  


限界だった。恥ずかしすぎて後ろにいるネフェリ達のほうを向くことができない。


「そ、そうか、喜んでもらえて嬉しいよ。」

(あぁ、その優しが心の傷にしみる…)


生前にでさえも無かった大きな黒歴史が深心に刻まれる。傷心に浸ろうとするが、マルコの一言によって遮られてしまう。  


「オヤジ、来ます。」


アロ、コーネリア達が、エステティアを護るようにかこむ。主を害そうとするものを肉の一欠片でも残してなるものかと、その一つの思いのもと人の気配のする方向を見つめる。


『ガチャッ』


ドアが、ゆっくり開く。その一瞬の出来事のはずが数十分に感じる。


「ど、どちら様でございますか?」


出てきたのは幼い女の子だった。多少肩透かしを食らってしまったが、エクスティアは緊張をほどき女の子に近づく。だが、エクスティアはありえない異変を感じた。


(に、人間にしてはおかしい。魔素量が異常に高すぎる。)


先天的に生物の魔素量な視える龍、そのおかげで相手の力量、生きた年数、などの様々なステータスを完璧ではないが予想することができる。さらに、エクスティアは長年の経験により、かなり高い性能をほこっていた。


「コーネリア、この子をどうみえる。」

「殺しますか?」

「ま、まて。私はお前の目から視てどう感じるかを聞いているだけだ、なぜそうなる。」

「はっ、申し訳ございません。たしかに、私の目から視ても異常と言わざるおえません。それに、この娘が魔法とゆう攻撃手段を手にしたとき、我が主の前に立ちふさがる可能性がございます。ですので不安の源は早急に潰しておいて損はないかと。もちろん、御身の手を煩わせるなどということはございません。」


エクスティアはコーネリアの言動に困惑しながらも、目の前の異常は見間違いではないと再確認した。


「あ、あのぉ……」


そっと、目の前の少女が口を開く。その瞬間小さな子供の全身に悪寒がはしり恐怖で顔を歪ませる。それを見たエクスティアは周りに聞こえないようにため息をはく。そして、ゆっくりと右手を上げる。


「静まれ、こんな物に殺気を飛ばしてどうする、程度が知れるぞ。」


そう言ったそばから少女の恐怖で歪んでいた顔が、あからさまに良くなり、震えが止まった。が、そのまま気絶してしまった。


(まったく、しょうがない奴らだ。)

「この子は持ち帰る、シュリムの、手土産にしよう。」

「確かに、いい実験材料になりますね。シュリムもご主人さまのご慈悲に感謝するでしょう。」

「ははっ、そうだと嬉しいな。さてと、マルコこの子を運んでやってくれ、一度屋敷に戻る。」

「かしこまりました。」


アリアが屋敷への帰り道を作る。陣が発光し、転移が始まる。


(ここは確実に何かがあるな…だが、まずはこの子が気になる人間とは思えない魔素量、それにあの瞳…気になることばかりだ)











  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

魂強くてすみません〜龍王になったんだがどないしよう?〜 線+7 @tohyao

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ