第5話 身分証明書
「我が主よおひとつ質問よろしいですか?」
「いいぞ、何が聞きたい?」
「先ほど助けた女の娘、なぜあんな高位な回復魔法を使ったのでしょう?恩を売るためであったのであれば、我々が助けたことで事足りたとおもうのですが。」
「そうだな、あの女の子を助けたのはただの俺の気まぐれだ。あと俺の使ったのは最下位の魔法だったぞ。」
「いえいえ、他のものは騙されても我のことは騙せることはできませんぞ。先程口では『キュア』と、言っておりましたが実際にお使いになったのは回復魔法の中でも最高位の、『エクスキュースヒール』でした、さらに聖属性ではなく天属性の、違うでしょうか?さらにあの娘を気まぐれで助けたなどと、何か考えがおありなんでしょう?」
え?何勘違いしてんのこいつ俺の使ったのは聖属性の『キュア』だったはずが、天属性って絶対違う
まずそもそも魔法というのは、どの生物も体内に存在している魔素を使い行使するもの。さらにその魔素の量をコントロールする力を魔力と言う。そして魔法には回位があり『下位』『中位』『高位』と分かれている。さらに魔法には属性が存在し、基本的に『
属性一つを上位に上がる事でその属性の魔法の威力は格段に上がり、色々な国からのオファーが来たりとその先の人生薔薇色なのである。しかし、ひとつ上位にあげる事はそう簡単なことではなく、地道な修行を数十年重ねに重ねやっとのことで手に入れることができるものなのだ。
うわーコーネリアめっちゃ見てくる。この目はどなことでもお見通しです。って勘違いしてるやつだ。どうしよこのまま違うぞって言ってもどうせ否定してくるし、ここは肯定した方がすぐ収まるな。
「コーネリアよく分かったな。だがその説明をするのはまた後だ。」
「やはりそうでしてか、我に教えてくれないのは悔しいですが自分で考えろということですね、さすが我が主素晴らしい。」
うん、ソウダネーと、俺は明日の方向を向きながらこのめんどくさい状態を未来の俺に託したのだった。
「エクス殿、王都が見えてきました。」
そうこうしている合間にこの馬車は王都に着いたのかと思ったのだが目についたのは大きな門であった。
「ハスマンさんこの門の先に王都が?」
「はいそうですが、その前に検査があります、貴方たちの場合身分証明書の提示が必要になってきますね。」
「身分証明書ですか。」
持ってない、どうしょうこのままだと中入れないぞ。焦りながら俺はアロに身分証明書を持っているか聞いた。
「身分証明書?あぁ私のは持ってますよ、それとご主人様のも一緒に。絶対忘れると思ってちゃんと持ってきました、次はしっかりと持ってきてくださいね?」
そう言ってアロは懐から身分証明書を出してくれた。
おお貴方はわたしの母か?と、心の中で感謝をしながら身分証明書をもらいそれを見てみると、金色に光って表面にSと書かれその隣にエクスと、書かれていた。このSなんのS?
「あれ?この身分証、金色だけどこれが普通なのか?しかもSって書いてあるけど。」
「そうですか?みんなそんな感じなんで、これがふつうなんじゃないですか?」
マルコや、ネフィラ達の身分証明書を見てみるとみんな金色になっている。
あ、これが普通なんだ。身分証明書なんかにめっちゃ金をかけるなこの国。
「エクス殿?身分証明書はありましたか?もうそろそろ検問が始まりますよ。」
「商人の方は商品の販売許可証と身分証の提示を、一般の方は身分証明書のみをご提示ください」
ハスマンさんの呼びかけに反応し身分証明書を騎士のような格好をした若い門番に全員で金色の身分証明書を提示した。すると門番は目を大きく見開き大声でこう言った。
「え、え、S 、Sランク冒険者ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎しかも5人も⁉︎」
すると周りの目が一気にこちらを向き、ものすごい顔で驚愕し、唖然となっていた。そんな中俺は門番が慌てすぎて逆にこっちは冷静になってしまうやつになって。
「あぁこれめんどくさいやつだ」
俺はこのあと起きるであろうことに大きなため息をつくのであった。
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