第4話 悲鳴の先

 俺は悲鳴のなった方へ走っていた。

 多分だけど俺が言った頃にはもう片付け終わってそうだな。配下が優秀すぎるのも困る。

 自分が予想していた通り俺がついた頃にはもうとっくに片付け終わっており、みんなが俺に向かって小さくお辞儀をしながら待っていた。


「みんなよくやった。誰か詳細を教えてくれ。」


 ねぎらいのことばをみんなにかけ、ここであった事を知るために聞いたら、アロが丁寧に答え始めた。


「はい。ご主人様のご命令どおり悲鳴の鳴った先に到着したところ、十数名で構成された賊が、あちらに倒れている馬車の中身を狙っていたようです。その賊が我々をみて悲鳴を上げた者の仲間だと勘違いし、切りかかってきました。中には召喚者サモナーがおり狼と思われる魔獣を召喚し賊どもを応戦していましたが何も問題なく壊滅いたしました。そして悲鳴を上げたのはそこにいる男の人間で、他にも女が二人おりその内一人が重症です。」


 俺はアロの視線が向いた先を見てみると、小さい女の子の胸から腰にかけて大きなひっかかれたような傷がついて、今でも死にそうな勢いだった。その子の親と思われる二人の顔が蒼白になって、その子に一所懸命言葉をかけていた。


「ルル!ルル!目を開けてくれ死んだらダメだ!くそ回復薬も効かんどうすれば‥」

「命を助けてくださった人よ図々しいことは分かっておりますが、今ここに回復薬や回復魔法が使える者はいませんか、お金はいくらでも払います。どうか、どうかお願いします。」

「ご主人様どのようにいたしましょう?助けることも可能ですが、ご主人様?」


 俺は親御さんの懇願に心を揺さぶられたのかもしくは自分が元人間でこの人たち同情したのかわからなかったがこの子を助けてあげようと身体が勝手に前に出てしまっていた。


「お二人ともその子から少し離れてくれ。」

「え?」

「お願いだこの子を助けるためと思ってくれ。」


 二人は娘を助けるためならとすんなりとどいてくれた。俺はこの子をを助けるために龍王の記憶を頼りにある回復魔法を唱えた。

『キュア』

 すると深く抉れていた傷口がみるみる塞がっていき、苦しそうにしていた顔色も少しずつよくなって行った。それを見ていた親御さんたちは、目を大きく見開いて泣きながら喜んでくれた。


「よしこれで大丈夫、傷は塞がったけど出ていった血液は、戻ってこないから何日か安静にしといてください。」


 ふぅ、龍王の記憶で何回も成功しているとこを覚えているとはいえ初めてすることは緊張する、失敗したらどうしようた思ったけど大丈夫だったな、この感じからすると他の覚えている魔法も問題なく使えそうだ。


「ありがとうございます、この御恩は忘れません。このお礼をどうしたらいいか。」

「いやいや、大丈夫ですよ私たちは、近くを通りかかっただけなので、娘さん助かって良かったです。それにあなた方を救ったのは彼らですから自分のことはお気になさらず。」


 ま、近くを通りかかったといっても体感で15キロぐらい離れてたけど。龍の身体能力恐るべし。それに俺は何もしてないから、俺よりあいつらにも感謝してやってくれ。


「いやいや、ご謙遜なさらず。ここは素直にわたしのお礼を受け取ってください私はこう見えても結構顔が広い方です。なるべくあなたの望みを叶えましょう。」

「そんなにおっしゃるならひとつだけ、私たち今から王都に行く予定だったのですがそこまでその馬車に乗せてってくれませんか?」

「そんなことでよろしいので?そんなことではわたしの気が収まりませんが、いいでしょうお安い御用です。あ、自己紹介がまだでしたね私は、ハスマン商会の社長ハスマンと申します。」

「私の名前はエクステ‥‥エクスです、王都までお願いします。」


 ハスマンさんの馬車に乗る事を伝え、みんなで馬車に乗った。

 やっと王都に行ける、なんかここまで長かったな。そういえばみんなちゃんとツノや尻尾を隠してるな龍なんでバレたら大変なことになるぞ。めんどくさいとさことにならないといいが。ま、そんなへましないだろ。

 この疑問をすぐに消し去り少し早る気持ちを抑えながら馬車にゆられ王都に向かって行った。

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