第22話 後半戦②

フランスボールからゲームが再開した。


アランがボールを持ち、日本陣地に侵入し、チームメイトの上がりを待った。

「!?」

しかし、アランの思惑とは裏腹に、チームメイトは消極的となっていた。

傑のプレーを見て、どこで取られても危険だと考えてしまっていた。

その証拠に、田中には常に一人または二人がついている。


「くそっ」

アランは、一度ボールを下げ意思の共有をしようとしたが、パスコースは、傑や日本の選手が狙っていた。

仕方なく前を向くしかなかったアランは、一人で行くしかなかった。


(こんなにも、自由にさせてもらえないなんて・・・)


「アラン!!」

チームメイトの一人が、アランを追い越し前に出た。

そのチームメイトは、控室で傑のことを聞いたDFだった。

「スミス!」

アランにとって、この瞬間最も頼り甲斐のある背中がきてくれた。

彼は、アランが目標だと認める傑の脅威をある程度予想していたが、あのパスには、流石に驚いた。

しかし、他の選手たちと比べたらだいぶマシだった。


スミスと二人で、日本ゴールに駆け上がるアランは、スミスとパスをつないでいく。

囲まれることはあったが、傑以外はそこまで脅威に感じないアランは、軽々とかわしていく。

誰か一人がいるだけで、アランにはものすごく頼もしく思えた。



「福田、あれ止められそうか?」

「どうですかね」

飛鳥と福田は、目の前で数人相手に余裕を持って自分のプレーができているアランを見て、そんな話をしていた。

「まあ、やってみるしかないか」

「ですね」

二人は、後半開始前に傑に言われたことを思い出していた。


「飛鳥さん、福田さん。アランの目をしっかり見てみてください」

「「目を?」」

「はい、アランの癖は目で進行方向を見ることです。フェイントをかけるために目を使うことはあるが、最後には、視線は固定します」


「目だな・・・・」

飛鳥が、アランと一対一になった。

飛鳥は、アランの目をこれでもかと言うほど見つめていた。

「?」

アランは、ここまで見つめてくるDFは初めてなのか、戸惑っていた。

(なんでこんなに見つめてくるんだ?まぁ、いいか)

アランは、目を動かし、体重移動でフェイントをかけた。

「!?」

(全く、動じない。しかも、目しか見てこない)

「やりづらい・・・・」

アランは、一気に仕掛けることにした。


アランは、飛鳥をかわして、あとは一人・・・・・・

「!」

飛鳥を躱した瞬間、目の前に福田がいた。

「なっ!くそっ」

福田と飛鳥に囲まれ、ボールを取られた。


「あーーーっと、飛鳥と福田、アランからボールを奪取したーーーー!!」

「いや〜、見事なディフェンスでしたね」

解説たちも、驚いていた。


「三条!!」

福田は、三条にボールをまわし、フランスの攻撃を終わらせた。


「よし、うまくいった。次は、こっちの番だな」

傑は、前を向きフランスゴールに向かっていった。

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