第17話 フランス戦 前半
「皆様、お待たせしました!今夜ついに新世日本代表と強豪フランスのオリンピックに向けての強化試合が行われます!なんと言ってもフランスは世界最高峰のプレイヤーであるアラン=ハート選手を擁する超攻撃的サッカーが有名です!そして対する日本は、アラン=ハート選手に迫る才能を発揮する至宝・佐伯隼人、そしてさらに、突如現れ、スペインで最高の成績を残した未知の天才・三条傑を擁する、まさに未知のチーム。この二人がいる日本がどれだけフランスと戦えるのか注目です!さてそれでは・・・・・・・・」
長い解説が流れる中、ピッチでは、選手が準備を完了して、試合開始を待っていた。
「隼人さん、見ていてください。絶対に俺が相応しいことを証明しますから」
「え、うん。がんばってね」
佐伯は、すでに田中の凄さと傑との相性のよさを知っているので、簡単な返事をした。
(早く後半にならないかな)
佐伯は早くも前半に関しては、諦めていた。
◆◆
(やっとだ・・・・!やっと、スグルと戦える。あの日、君に手も足も出せなかったからね。どれだけ君に追いつけたか・・・・!)
アランは、ようやく会えた憧れに気分が高揚していた。
アランは、あの試合以降、それまでの常識や理想を全て捨て、傑という存在だけを追い続けた。
期待のルーキーとしてあの日、世界選抜に選ばれていたアランは、今では、世界最高のプレイヤーと呼ばれるまでになった。
だが、まだ足りない。
あの時の、感動はまだ、こんなもんじゃなかった。
アランは、再び相対することになった憧れに全てをぶつけるためにピッチに立った。
◆◆
「さぁ、もうまもなく試合開始のホイッスルが鳴り響きます!」
ピィィィィィィィィ!!!!
「試合開始です!」
前半戦フランスのキックオフで始まった。
「さあ、試合開始そうそうアランにボールが渡りました。いったいどんなプレーを見せてくれるのか!?」
アランは、ファーストタッチをすぐにサイドに流した。
アランの視線の先には、無表情の傑がいて、危険を感じたのか、安全策を取った。
(ああ、やっぱりすごい。あのまま、調子に乗ってたらやばかった)
そんなことを考えているうちにボールは日本に渡り、傑の元に回ってきた。
(来る!)
アランや他のチームメイトは身構えた。
ボンッと音がした時アランの顔の横をボールが過ぎていった。
「なっ!」
顔を後ろに向けた時、ボールは全線で固まっているFWに最適なスペースに向かっていた。
しかし、そのFWは反応が遅れ、おかげでフランスボールにすることができた。
「ちっ」
(え、今、舌打ちした?あのスグルが?いやあのボールに反応するのは・・・・)
今のアランだとしても簡単なボールではなかった。
(確かあれはミシマだったな。ポジショニングは的確だが、反応が追いついていなかった。想像していなかったのか?)
これは、簡単にくずせそうだ。
とアランたちフランス勢は早々に穴を見つけた。
佐伯の存在を無視して。
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