一目惚れはあるんだ、僕がそうだ(菊谷学視点)
衝撃だった。僕は画面越しに彼女を一目見て、惚れてしまった。
菊谷学、初めての恋だった。
「とーぅ!! いっくにゃぁー!」
人気ゲームめっちゃモンでゲーム配信する女の子。ミツキちゃん。
銀色の髪、猫耳がゆらゆら揺れて、その姿から目が離せない。学業の息抜きで買ったゲームの攻略を探していて見つけた彼女。まさに運命だった。
「うぉぉぉぉ、ミツキちゃぁぁぁぁぁん」
僕は彼女の熱狂的支持者の一人になってしまった。
彼女を探して、チャンネルを登録。SNSチェック。他の番組にゲリラ出現した等の情報サイトまで見るようになった。彼女の目に止まりたい。彼女の情報は全部知りたい。
「僕は何をしてるんだ」
画面の向こう側の存在である彼女に恋をしたところで報われないのはわかっている。たまに現実に引き戻されることもあった。だけど。
「ミツキちゃん、今日も可愛いぃぃぃぃ!!」
恋は盲目とはよく言ったものだ。僕はもう彼女の虜だった。
「ふぅ、今日もミツキちゃん可愛かった」
こっちを向いて笑顔で僕にまたねって言ってくれた。これで明日も頑張れる。
その時はまさか彼女が画面から出てくるなんて、思ってもいなかった。
「川井マリヤです。よろしくお願いします」
まじか?! 嘘だろ。
瞳の色と猫耳はない。ないけれど、彼女だった。
画面の中の彼女じゃない。本当の、彼女。
間違いない。あの子がミツキちゃんだ。彼女の出現時間を鑑みるに同い年付近の学生である事はわかっている。
僕はすぐに彼女の名前を検索にかける。
さすがに、ないか。
それらしいページはヒットしなかった。
でも僕は確信していた。彼女を手に入れる。どんな手を使っても。
「めっちゃ久しぶりーーーー!!」
そう思っていた矢先、彼女は別の男に抱きついた。
男から告白されているという噂もある。いつもクラスメイトの
その二人の間に、僕の理想の女の子が挟まった。
これはいったいどういうことなんだ!!??
僕は知っている。遠坂樹、お前もミツキちゃんファンだということを!!
ミツキちゃんが好きだというマスコットを持ち、ミツキちゃんが好きだというゲームカードをそっと鞄に仕込み、ミツキちゃんが好きな文具シリーズの文房具を使う。
ヤツもまたミツキオタクだと!!
そんな男の側に、マリヤさん(ミツキちゃん絶対確定間違いない)をいさせるわけにはいかない。ヤツならすぐにミツキちゃんであることがわかるはずだ。
僕が守らなければ!! 彼女の秘密を!!
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