触れる指先、ドキドキする私
(私の部屋に樹君がっ!)
両親から用意された女の子らしい落ち着かない部屋。だけどマキは今とても感謝していた。
(樹君がドキドキしてくれている)
イツキは今まで、マキの事をあまり意識してくれていなかったと思う。そして、理解する。
(そうか、男っぽくても女の子らしさを持っていると思わせればいいんですね)
ただ、女の子らしさとは何かがマキには理解が出来なかった。だから、すぐにナミに聞いた。
ゲーム配信しながら慣れた手つきで片手でスマホを操作してメッセージを送る。
ただ、ナミはこれが出来ないせいで、何度も何度もクエスト失敗させてしまった。スマホを見るのに目を離して敵に突撃してどーんと――。いったい何度失敗させてしまっただろう。イツキがナミを見る目、だんだんあきれてきてる。うん、あとで謝っておこう。
(さぁ、いよいよ。行きますよ! 私)
打ち合わせ通りナミを撫でたあと、流れのままイツキに向かう。イツキに近づけば近づくほどドキドキする。この心臓の音がばれないように、心の中で次の試験問題を考えながらイツキに触った。
(あ、とてもとてもヤバイです。私)
口をぎゅっとしてるのに、ほっぺたが少し赤くなってるイツキ。髪はマキのものより硬いけど、可愛くてずっと撫でていられる。
(このまま抱き締めたりしたら驚かれるでしょうか)
そんな風に考えていると、ナミの言葉でイツキが我を取り戻し、走り出して逃げてしまった。
「ナミぃ」
「まだよ! お兄にも時間をあげなさい」
「むぅ、もう少し撫でていたかったのにぃ」
(あれ、でも。撫でるなんて初めてなのに、どうして懐かしいなんて思ったんだろう)
マキはナミの話を聞きながら思い出して笑いだしてしまった。
「そういえば、ナミと喧嘩したとき、あんな感じで私達が撫でられてましたねー」
「あー、あったね、そんな事も。よく覚えてるね」
優しいお兄さんの記憶を思い出しながら、ナミと次の部活の打ち合わせを終わらせた。
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