第三十三回 星野系統には謎が。


 ――だったら、僕らは何故お友達の位置付けなのだろう?



 ふとそう思ったのだ。


 千佳ちか先輩と梨花りか先輩は一卵性双生児で、瓜二つなくらい似ているのも納得。同じ星野ほしのでも、僕は似ていないの。この二人よりも、距離のある姉妹。僕の方はパパが星野の姓だから、二人とは異なるの。二人のママは旧姓とも星野だから、二人のパパも……



 ならば、純正な星野と言えるだろう。


 それに、千佳先輩には直接訊く機会はなかったのだけど、僕と同じように旧一もとかずおじちゃんが見えていたそうだけど、千佳先輩の場合は千佳先輩のママが、旧一おじちゃんの直接的な妹だから、それもまた納得といえるの。


 そしてまた、可奈かな先輩のママも旧一おじちゃんの上の妹だから、梨花先輩と可奈先輩はお友達というよりも、従姉妹の関係で……等身にするとややこしくなりそうだから、距離感も併せ。千佳先輩も同様。なら僕のパパは……な、何と千佳先輩と梨花先輩のパパの弟になるそうなの。それを教えてくれた人物が、僕にはいた。


 その人物はね、可奈先輩のお姉さんで、


 藤岡ふじおか奈々ななさん。何を隠そう、隠す必要も今まではありで影だから。怜央れお君に℮スポーツを教えた人でもあるのだ。……実は僕も、最近知ったのだ。最近といっても本当に最近のことで、ウメチカ戦が開催された次の日のことだったから。昨日のことだったの。


 と、いうことはね、彼女もアバターを持っている。

 可奈先輩が設定してくれたアバター。その名は奈々なだけに、


 ――アストロ・セブン。


 それはきっと、太郎たろうさんも知らないこと。だからこそ太郎さんは、あくまで怜央君と対決するように仕向けるから、自ずと奈々さんの対戦相手は千佳先輩ということになる。


 その舞台は決勝戦。――それが僕の見えるヴィジョンなのだ。



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