第二十四回 轟く雷鳴と繋ぐ光。


 ――そんな中を僕は、画面に走らせる文字を。それは僕の心の言葉となる。



 無限に広がる脳内は、人の心が潜水艦のように住んでいる。


 雨によって暑さにプラスアルファする湿度は、鏡のように通過するその心からの言葉たちを遮っている。或いはその鏡を曇らせている。眼鏡が曇るのと同じ心境だ。


 まずは身を清める。

 雨で濡れた制服を乾かしつつも、同じく濡れた身体を洗い流すの。


 地に着く足。僕は二本の脚で立っている。……去年はできなかったこと。一人で身体を洗うことができなかった。今は紛れもなくできているの。


 そのことが日々……

 僕には嬉しいことだから。



 ――まだ楽しいことはあるよ、これからだから。


 と、言ってくれるあの人。すぐには会えずとも、今はもうスマホでコンタクトが取れるのだから。予定通りに順調だそうだ。新たなる生命は、世に出でるのだ。


 予定もまた葉月……


 同じ誕生月なの。あの人も、僕も、怜央れお君も。あの人と僕は同じ誕生日。思うのなら摩訶不思議ともいえる。葉月で繋がれた四人ということになる。


 去年の出会いもまた葉月……


 私学展も目標だけど、それと同時並行で本年の『ふるさと祭り』もチャレンジしていこうと思う。まずは一人立つ精神で、あの人の分も僕が継いでみせるのだ。


 そしてあの人が……


 また芸術棟に帰ってきたのなら、褒めてほしいな、僕のこと。不肖な弟子だけど、僕は仕上げてみせるの作品。――お帰りを、いつでも待っています。との思いを、この嵐の向こうにある光の世界へ。届けと思うばかりに僕の師匠の、令子れいこ先生へと。



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