第二十三回 嵐のような空模様。


 ――天と地を繋ぐ何万ボルトもの光線。ダイヤモンドよりも強き輝きなの。



 それは、投じる下駄は裏返しの、

 てるてる坊主も逆立ちしたような、お空の表情。厳格なる季節の変わり目。


 反射を受ける眼鏡は、僕のその表情を隠しつつ。そうでありながらも僕は、そんな光景を目の当たりにしながらも、……「本日のクラブ活動は休止」と告げられた。


 それを告げたのは梨花りか先輩……


 放課後になる少し前、つまりは瑞希みずき先生によるHRホームルームの前に、教室まで来られたのだ。僕と、そして怜央れお君を訪ねて。いつも……いやいや最近は一緒に帰ることが多くなった。


 怜央君が僕を、お家まで送ってくれる。


 そこから怜央君は駆ける、駅まで一人きりのランナーを演じる。もうすでに大雨の中に身を投じていた。その日はそこで別れたから、その後の展開は知らず……だけど、またも千佳ちか先輩が鮮明に綴ってくれたから、ウメチカのお話に。


 様々な表情を持っている作品なの。


 千佳先輩のPNペンネームがウメチカだから、ウメチカ? それともこの度に起きる第二次ウメチカ戦と掛け合わしているタイトル? きっと深い意味が込められているタイトルなの。


 そして描かれる、ウルトラ・レオとウルトラ・タロとの対戦。


 ――初対戦。そう思われる。ウルトラ・レオの正体はもう存じている。その前の日に僕は目の当たりにしていた。怜央君の裏の顔? 或いはそれが本性とも思える。


 僕と出会う前の怜央君は、どんな子だったのか?


 見る限りでは、強くなりたいと思っている男の子。それは僕を守るため? それは違うの。怜央君が僕のことを守ってくれることは余計なお節介と思っても、喩え言葉にしたとしても、怜央君はきっと僕のことを守ってくれるの。困っている人を見ると、黙っていられないそんな子なの。だから僕は怜央君に興味を示したのかな? それは、それはね、


 ――僕にないものを、君は持っているから。



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