第二十回 進展を描くウメチカ。
――それは今、世間で騒がれている『第二次ウメチカ戦』開催も一週間と迫っていた。
そのために
とはいっても、顧問の
去年を知らない僕だから、驚きに包まれているのかもしれないけど、簡単にいうと、僕の知っている殆どの面々が、参加者ということなの。……と、いうわけで、
「僕ら二人きりだね……」
と、溜息交じりの言葉。僕は声にした。目の当たりには、
やはり「怜央」と呼ぶには抵抗があって、ここからは「怜央君」とした。
今日もまたアトリエ。
進展を描くために、僕らはお互いを描く。キャンバスはお預け。まずはデッサンから入ることにした。そこから構想を膨らますの。……思えばそう、あまり時間はない。でもでも焦りは禁物。最高のシチュエーションを描くため、今は堪える。そして溜める。
イメージを幾度も重ね。今は体操着だけど、
その奥に展開する時は、キャンバスに描く時と、お互いが了解している公平に。
走る鉛筆の中、その時だったの。
「
ぜひ君に、僕の勇姿を、第二次ウメチカ戦をお目にかけたい」
と言い放った。怜央君が獅子のように、男らしく僕に言った。……キュンと、効果音を立てる程に、乙女のハートを掴んだ。強引な言葉だけど、力強くも……
僕はきっと、その攻める言葉が好きなのかもしれない。……「怜央君もなんだね。僕を誘うんだったらね、つまんない試合したら承知しないんだから」と、握り拳を軽く彼のお腹にヒットさせて、すると彼はニッコリと「もとより承知だ」と、笑った。
――きっと今年の夏は、去年の十倍……いや百倍以上も充実して、ワクワクするの。
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