第十九回 そしてその時間内に。
――場所は未だアトリエ。
月の光にはまだ程遠い今時分。夕映えにもなれないままなの。
距離が近づく
裸になっても、眼鏡だけは外さなかったから。
素顔は今まで、家族か、
「あのっ、僕の顔、変じゃないかな? そばかすも目立っちゃって」と、自ら言っちゃう始末。都築君の……まだ膝枕の上で。「可愛いよ、眼鏡のない
できるだけササッと、眼鏡を掛ける僕。都築君の膝枕から起き上がって……
「さっ、描こう描こう、仕切り直しよ、
「葉月、今……」
「わ、悪い? 君の名前、下の名前で呼んじゃ? 君だって僕のこと、葉月って……」
クスッと漏れる笑い声。それは怜央のもので、
「大歓迎。葉月にそう呼ばれるなら」
「これって不公平だからそうするんだからね、僕は君のこと、いい奴と思ってるだけだから。あくまで一緒に絵を描いていく仲間、お友達なだけなんだから」
それ以上ではないの。ましてや恋人だなんて……
「はいはい、わかってます」
と、怜央は満たされたような顔で、そう返事するものだから、本当にわかっているのだか? と、そう思いながらも、ドキドキするのは何故? 変な感じを覚えたの。
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