第十七回 事情は二乗と考える。
――その根拠は、この度の
二人とも、
聞いちゃいけないことだったの?
でも、都築君は聞いた。本人から。……恵比寿君のことについて語ることとなる。
恵比寿君は可奈先輩とは姉弟のような関係で、それは可奈先輩のお父さんの、お仕事の関係で知り合いとなった。週末は、お泊りする機会も多かったという。御飯も一緒に食したし、御風呂も一緒に入る仲だったそうだ。……あっ、でもそれはね、可奈先輩が小学五年生までの話。そこからは、まあ……普通のお友達のような関係になったみたいで。
そしていつからだっただろうか?
可奈先輩に大好きな女の子ができたのは? ……そのことを知った当時は、梨花先輩と
そしていつからだっただろうか?
可奈先輩が百合ではなく、普通の女の子のように男の子に恋に落ちたのは?
それは僕のハートがキュンとするほど、可奈先輩が綺麗に見えた。いつものマシンガントークのイメージとは異なった大人っぽい、素敵な女性に……浴衣姿の夜、月明かりに見たその姿。僕もいつか、そんな素敵な女性になりたいとの思いが込み上げてきたから。
恵比寿君が、その夜に泣いちゃった心情を、言葉にはしないけど、……都築君を通して察することができた。二人の事情を二乗にして、心の中では蠢いていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます