第十二回 それは面々を指して。
――喩えるなら、今日この時の芸術棟。久方に面々は、この地に集った。
学園内なのだから、もっとも近い場所。
そして僕は、都築君も含めて……
何も飾ることなく、これまで通りの活動に勤しむ。……ただお互いが描き合い。さすがにまだ全裸とはいかずに、制服から始まり体操着の段階なの。僕らのスタイルは、きっと僕らの距離感。千佳先輩のように、梨花先輩のことを知っていく深さ。その表現に近し。
都築君が先日、淳一堂へ誘ってくれたことがきっかけとなり、
二人で絵を描く時のスタイルが、体操着となった。……僕が都築君をキャンバスに収める傍ら、都築君もまた、僕を描いている。キャンバスに向かう僕を描きたいそうだ。
そして初の、キャンバスに挑むという都築君。
僕もまた初めての、私学展へと出展する絵を創り上げようとトライなエブリデイ。
二人にとって、
……まさにこの夏は初舞台だ。
意外で、感動を覚えたのは、この度の都築君。
何処か頼りなさそうで、ひ弱なイメージを覆したの。……ううん、それらは僕が勝手に持っていた彼へのイメージ。本性は今現れている、千佳先輩と並ぶ百四十五センチほどの小柄な体とは裏腹な、爽やかな男の子。声変わりもまだのようだけど、それでも頼りになる逞しさを垣間見る。……末っ子だそうだ。三姉妹の末にできた唯一の男の子……
一人っ子の僕には、理解できない末っ子の心情。
でも、僕にとって、唯一頼れる男の子かもしれない。……あっ、でも内緒だから。
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