第三章 ――上々。
第十一回 それは気分を指して。
――現実感を思わせる平日。休日とは違うの、同じ人であっても。
休日の余韻。月曜日の空気を少しでも軽く軽快なものにしてくれて、朝の光に包まれる見慣れた風景は、僕に安心感を与えていた。午前の風、そこに順応すれば大丈夫。
期間限定の部員の頃は、
……行きたくて堪らなかった学園。
しかし今はもう、期間限定ではなく正式な、この学園の生徒。……ずっと、ずっと高等部三年生になって卒業するまで通い続けること必至。ある意味、違った緊張感だ。
その距離は、短い……
通学路。徒歩五分程の道程となった、正門まで。
歩けるようになって徐々に、他の人の歩く速度に近付いた。そんな中で「あっ」との漏れる悲鳴。躓き転びそうになる僕……ガシッと支えてくれる人がいた。
「おはよう」
と、敬語なしの溜口な挨拶。笑顔の
「……おはよ、見てたの?」
「ううん、偶然。グットタイミングだった」
……と、そんな会話ができるような間柄になっていたの。
でもね、やっぱり照れくさい。そんな心境の中を、そんなタイミングの中で、通りかかる
「もう七月だね」と、梨花先輩が言うと、
「もうとっくに七月だよ、しかも五日目。……今日は、僕も行くから芸術棟」
という具合に、時々来てくれるの千佳先輩。……何でも愛の鞭。梨花先輩のビンタを受けてからなのかな? あの学期末考査の試験中に千佳先輩が学園を脱走した事件以来。何故か学年を越えての噂となってしまったようだ。一躍有名な千佳先輩だった。
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