第八回 葉月の休日はどの様に。


 ――どのようなものなのか? 正直なところ、思考の果てでも解けないまま。



 今は蔓延防止となるけど、不要不急の外出を控えるようにと促される世の中。思えば僕は、すでに自粛のような休日だった。……今も尚、学園以外はお家の中にいる。


 休日だからって……

 特別に何をするってこともなく、ぼんやりと過ごしていた。


 そこは、車椅子の頃とは……

 何も変わっておらず一人きりで、パパとママと、ぼんやりと過ごす時間なの。


 今時の、女子中学生はどの様な休日を送っているのか? ふと気にした今日この時この瞬間……思い起こせば、僕の身近に、そのサンプルらしきことがあるのに気付くの。


 車椅子の頃とは違った、今この時を創り上げるために出会った面々。かつての芸術部の面々が描いたといっても過言ではないエッセイの存在……ウメチカを。


 千佳ちか先輩が綴るエッセイの『新章たるウメチカ!』……略して『ウメチカ』に、そのサンプルが……とても身近に見本があったの。青春を語るその文面の数々に……


 すると。するとね、

 見える色彩が変わるの。ハイカラにね。


 スマホはもう、飾りではないの。ちゃんと奏でる『御隣の……トトオちゃん』


 そして幾度も声を掛けてくるの、――歩こうって。それは着信。出てみるの。梨花りか先輩でもなければ可奈かな先輩でもない声。だからって千佳先輩でもなく、高めの声だけど、女の子の声とは異なる男の子の声なの。僕の第一声は「はい、星野ほしのですが」と、ありふれたもの。……相手はね、『都築つづきです』と名乗ったの。パパ以外で初めて、男の人の声……


葉月はづきちゃん、明日……あの一緒に、淳一堂に、どうだろう?』


 と言ったの。これって、あの……「都築君、それなら『どうだろう?』ではなくて『一緒に行こう!』でしょ。『葉月ちゃん』って、そう僕のこと呼ぶのなら」


 と、自分でもニンマリするのがわかるほど、何というか……まあ、そう言ったの。



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