第3話 西島澪

 その日の放課後、竹内秀一は自転車置き場に友人で彼の幼馴染の女性、西島澪にしじまみおと向かった。

 二人はなぜか一緒に帰宅する。秀一が澪を誘うのだ。

 それは住んでた家が近所だから、という理由の他にもいくつかの理由があった。

 その一つに西島澪がちょっといないレベルの美人だったから、という事があるのは間違いない。

 夕日が朱色で美しい。がお前も負けてないよ、と秀一は思った。


 秀一が自分の自転車を探していると声をかけてきた男がいた。

 Mだった。

「おうお前ら、部活どうしたんだよ」

「いや、俺ら帰宅部ですから」

 秀一が答える。

「ふーん。なに? お前ら付き合ってんの?」

「付き合ってないです! ただの友達なんで」と澪が声を荒げる。

「西島は美人なんだから竹内なんかやめとけよー」

 とMが言って秀一は笑った。

「お前らこれから何すんの? 塾とか?」

「いや、今日は帰るだけです」

「ふーん。暇そうだなあ。」

 と言ってMは少し考えるようなそぶりを見せた。


「なあお前ら、暇なら俺んち来るか?」

 秀一と澪は顔を見合わせた。

「先生の家って近いんですか?」

 と澪が言う。

「すぐそこだよ」

「ちょっと行ってみたい!」

 と澪が言うので秀一は同意した。

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