今日を振り返って

夕飯後にはみんなで片付けをして、入浴した。もちろん、男女は別なので1人である。どんな会話をしているのか分からないが、近くにいるというだけで安心できる。

お風呂から上がれば勉強会なのがこれからのスケジュールのようだが、今日は無しで良いとの事。

久しぶりに自室へと帰ってきたのが、ついさっきである。 

時刻は9時。もうすることも無いし少し眠い。今日は早めに寝ようかとベットにこしかける。そういえば石田君の買ったたい焼きが残っていたのである。あらかじめ半分に切ってくれているたい焼きを頬張りながら、今日を振り返る。

……今日は色々あった。思えば長い一日である。校門でのひと悶着から天使呼ばわりされ、理事長にアドバイスを貰って自己紹介をした。皆に暖かく迎えてもらったと思えば追いかけられて、逃げて、泣いて、相談して、友達が出来た。

皆が謝りに来て、先生が皆を煽って、寮会議。買い出しに向かってお料理。

…大変だったけど、一つ一つが私の成長に繋がっている。

明日も頑張っていかないと…

そう思うと不安が出てくる。中学校だって、転校初日は良かったんだ。皆良くしてくれたし、暖かく迎えてくれた…はず。次の日からガラッと雰囲気が変わっていじめが始まったんだ。

もしかしたらそうなのかも知れない。明日こそ私をいじめる為に敢えて上げたのかも。考えたくないし、そう思いたくないし、そんな人達じゃないと思ってもその不安は拭いきれない。もしかしたら…もしかしたら…そう思えば思うほど不安で心が塗り潰されていく。

正義だっている。石田君もいる。確かに守ってくれるのだろうが、いじめられる事はそもそもされたくない。でも、中学校の時だって「ボク」以外の原因が分からない… 

直しようが無いのだ。どこを直せばいいのかも分からない。それにどんどん自分でも出来ない事が増えていっているのを感じる。これ以上直すところが増えてももう、直せない。

やはり迷惑でないのか。私がいるだけで不快な思いをさせる「なにか」があるのではないか。ぐるぐると掛け巡る負の思いは止まらない。

涙も出てきた。自分では抑えきれないほどの不安、恐怖、緊張。

…もう、分からない。知らない事はどれだけ考えても分からないのだ。

結局泣き疲れて寝てしまうまで泣きながらベットに横になっていたのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る