心強いともだち
「んで、結局日高は何をしに1階をウロウロしてたんだ?聖がいないのが不安だったのか?」
「んーん。」
「ボク、あやあぃたいの。にぇてきたから…」
「誰にだ?日高が謝りたいのか?」
「みんぁ…ボクのこと、思って…」
「どうだろうな。それは本当に日高のためにやった事なのか?」
「…?」
「確かに結果的にはお前の為になるような行動だったのかもな。でも、あいつらはお前の事を…その…」
なんだろうか?詰まるような事を話そうとしてるってこと?
「下心丸出しで…追いかけてただけだと思うぞ?」
ポカンとなる。下心…?
「それもそうだな、日高はすぐに教室を出たんだもんな。知らないか…」
一人で納得する石田君。私にも分かるように説明してほしい。
「あの後な。聖が全員を呼んでなんて言ったと思う?」
正義が?…うーん…
「お前ら、正直な所、佳乃の事、どう思ってる?」
「なんて、ストレートに問いやがってさ。」
ごくり。
「愛してます!」「マジで天使です!」「彼女の椅子になりたい!」「明日が楽しみ!」「今から追いかけたい!」
「早く行こうぜ!」
「オーケー、待て待て!お前ら…佳乃の事、好きなのか?」
「「「「「当たり前だろ!!」」」」」
「あんな可愛い子好きにならない奴いるの?え、だって高校生であのサイズだろ?白い肌だろ?それに幸薄の美少女って雰囲気でさぁ!」
「そうそう、んでボクっ娘だろ?彼女になってくんないかなぁぁぁ!?」
――
「まあ俺はこの辺で教室を出たんだが。その時に聖に止められてな。」
「佳乃によろしく頼む…とだけ言ったと思ったら俺を外に突き飛ばしてワラワラと出入り口に集まるクラスメイトを止めに行ってよ。」
そんなことが…
「まあ、日高。なんか知らないがお前はすごい人気がある。」
「日高自身も気を付けたほうがいい…近寄らない方が身の為だな。」
…謝りたい気持ちが無くなった。私、捕まってたら何されてたものか分かりません。
でも、正義はいち早く察知して身を挺して止めてくれた。
正義には謝らなくちゃ…
「正義。だけでも、謝る。」
片言だけど、やっと話せるようになってきた。
「まあ。聖には感謝しないとな…」
「なんて、あやまぇばいいか…な?」
「謝る必要無いんじゃないか?寧ろ感謝したらどうだ?」
「ぇも…むし。しちゃっ…から」
「そりゃあ大勢に追いかけられたら逃げても仕方ねぇさ。今、日高にできる事は感謝して聖の行動をむだにしてやらない事じゃないか?」
「そぅ…かも。」
「結構な時間も経っている。流石に聖も帰ってきてるだろ。付いていってやる。行くか。」
気づけばこの部屋に来て1時間だ。私のペースにあわせて聞いてくれた事にも感謝しなければならない。
「あぃがと。きぃてくれて。」
「どういたしまして。んじゃ、出発だ。」
心強いともだちが、出来たみたいだ。
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