第一章 その二 エリート事故物件
鳴神の住むアパートは某都市の繁華街にある。
全国的にも名の知れた商店街、そのたった一本裏手の細道という好立地だ。大型ディスカウントショップ、JRの駅、地下鉄の駅、もちろんコンビニ、これら全てが徒歩5分以内に収まる最高の物件。しかしこのアパートは15部屋中6部屋しか入居者がいない。それもそのはず『アパートまるごと事故物件』という稀有な存在だからだ。
まず土地が良くない。
このアパートが建つ前、その土地はある豪商の所有する屋敷だったのだが、その主人が女中とデキてしまい、怒った奥方様が屋敷に火を着け全焼させてしまった。
そしてその後昭和に入り某大学の学生寮が建てられたのだが、あろう事か数名の学生と寮母が『大人の関係』になり殺人事件まで発展してしまった。
その後建物はそのまま学生寮は廃止、平成になるまでほぼ廃墟と化していたが地方の金持ち農家が土地と建物ごと買取りリノベーション。現在のアパート経営となったのだが、平成の間に自殺、殺人、失踪合わせて8件。みるみる入居者は減り家賃も激減。
『エリート事故物件』の出来上がりだ。
今住んでいる数少ない入居者といえば思いのほか鈍感な人物か霊感が強すぎてどうでも良くなっている人物の二択となっている。
鳴神花一は後者に分類されるだろう。しかしその中でも鳴神は特殊な部類だ。彼は霊や妖怪、つまるところの『あやかし』と呼ばれる存在が見える、それらと話せる、だけでなく、
『殴れる』のだ。
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