第41話

DDR本社

甲斐冬馬かいとうまが社長秘書と共に社長室に向かっている。

「DDR社長の氷室純成じゅんせいが俺なんかに何の用なんだ?」

「さあ‥貴方あなた様は社長のご友人と聞いておりますが?」

「友人?会った事もないのにか‥」


社長室

「甲斐冬馬様をお連れしました」

ソファでタブレットPCをいじっていた社長の氷室純成が振り返る。

「やあ、チャンプ!ようこそDDRへ」

「その声は‥RevレボHか?」

「ピンポーン、正解」

「あんたがDDRの社長だったとはな‥」

「社長ってガラじゃあないんだけど、遊びで作ったディープスペースの規模が思ったより大きくなっちゃったんでね、続けるにはどっかに売り払うか法人にするかだったんだけど、人に任せるのは嫌だったんで自分で経営することにしたんだ。ところで、PDの開発が凍結されたそうじゃない?」

「元々PD開発は赤字事業だったからな。それでも将来性と見た目のインパクトでハヤセの広告塔になってる内は良かった、ところが今回の事故でPDはハヤセの製品プロダクトに対する信頼を失墜しっついさせる存在になっちまったんだから、切られて当然だろうな」

「へえ、ずいぶん冷静に分析してるんだね‥実は僕、これからロボット事業を立ち上げようと思ってるんだけど、どうかな、僕と一緒に新しいプロジェクトにチャレンジしてみないかい?」

「それはヘッドハンティングってやつか?」

「理由はともかくチャンプにはヒーローでいてほしいんだよ。ヒーローが国交省の事故調査官じゃ話が地味すぎる、僕ならチャンプがもっと活躍できる物語を用意できるよ」

「何の話かよく分からないが‥開発は凍結されたけど、製造済みの機体を使った実証テストは続けられる事になったんだ。

まだPDは終わっちゃいない、いつか仕切り直して開発が再開されるだろう。その時、俺は仲間と一緒にその場所に居たいんだ」

「つまりノーってことだね。そっかー、残念だな、でも応援してるよチャンプ」


冬馬が帰った後の社長室

電話をしている氷室、

「ハロー、ソルジャー。カリスマインフルエンサーの革命家Jだよ」

『自分で言うか‥J、いつにも増して楽しそうだな』

ソルジャーと呼ばれた電話先の男はぶっきらぼうに答えた。

「ジャーン!さあ、ゲームを始めるよ」

『始めるって、バトルボッツの事じゃないよな‥いよいよか」

「ああが手に入ったからね‥ふふ、思ったより簡単に手に入ったよPD-105、まあ欲しかったのはアルファユニットだけなんだけど、取り外して持ち出すより機体丸ごと奪っちゃう方が簡単だったからさ」

『遂にRevHが動くか‥』

「イエス、HとJが合わさって、本当の革命家氷室純成の誕生って訳さ」   

『で、チャンプの件はどうだったんだ』

「それは‥てへ、ダメでしたー!できれば甲斐冬馬は仲間にしておいて、懸念けねん材料をゼロにしておきたかったんだけど‥PDの戦闘になっても君が居れば大丈夫だよね?ソルジャー」

呑気のんきなものだな。ゲームに勝ちたいなら、全てに警戒をおこたらないことだ』

「分かってるって、何度も何度も何度も‥シミュレーションを繰り返して、あらゆる準備をしてきたんだ。僕のシミュレーション通りにやりさえすれば革命は成功するよ。腐った格差社会を生んだ日本政府なんかぶっ壊してやるんだ‥」


(続く?)

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