第39話
「PD-105の動作を制御している量子コンピュータを黒崎
ユニットの
105はハヤセのPD管理サーバーに接続され、最新ドライバソフトのダウンロードや学習データのアップロードを行っています。
その他、動作モニター用のPCが複数台接続出来て、設計者権限があるPCであればシステム領域の書き換えも可能です。
通常使用ではマニュアルモードかノーマルモードを選択できて、マニュアルモードはラムダOS、ノーマルモードはラムダOS改で動いています。
そして通常外使用の隠しモードがあり、これが事故を引き起こした、アルファの自己防衛機能を使った自立行動モードです。
隠しモードを使う時は通信ソフトを毎回ロードさせて、接続先を管理サーバーから黒崎迅さんのPCに切り替え、PCをブリッジにしてもう一つアルファユニットに接続します。
この通信ソフトはダミーデータで管理サーバーに通信ログを残し、105をシャットダウンすると消滅してしまいます。
事故を起こした105にアルファ使用の
もしもモーターショーの105が通常使用されていたら、ロンリの中のアルファの心が反応する事は無かったでしょう。コピーのアルファユニットは心の入れ物にはなれないので。
しかし、あの時、コピーのアルファユニットはオリジナルのアルファユニットと
アルファの心はオリジナルのアルファユニットに戻ろうとしますが、コピーのアルファユニットは拒絶反応を示しロンリを排除しようとしました。
―これが暴走事故の真相です。
ご存知の通り105は甲斐冬馬さんの操縦する303によって止められ、その結果、アルファの心はロンリの中と、オリジナルのアルファユニットの二つに分離された状態になってしまいました。
この状態が長く続くと心は存在を保てなくなる、時間は限られていました。
そこに舞い込んだのがモーターショー再開のニュースでした。これは分離したアルファの心を一つに戻す最後のチャンスです。
ところが、ロンリから現実のモーターショーと同時にディープスペースで事故の再現シミュレーションを行うという情報が入りました。
ディープスペースの105がオリジナルのアルファユニットに接続していたら、現実の105は接続出来ません、アルファの心は戻る事が出来ない。
そこで博士は、この状況を逆に利用する作戦を考えました」
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