第25話

ロボットモーターショー ハヤセモーターススタッフルーム

営業本部長の三田と黒崎が話している。

「今日のデモンストレーションバトルは各国の軍関係者に配信されています。要するにPDの今後はバトルの成否にかかっているのです、失敗は許されませんよ。

何の実績も無かった君が設計開発のリーダーに抜擢ばってきされた意味を良く考えてください」

「分かっています、二度と期待はうらぎりません‥」


三田が部屋を出ていくと、黒崎は思い切り壁を蹴った。

「クソがっ!たかが本部長の分際ぶんざい威張いばりやがって。これは社長案件だぞ、お前に口を出す権利はないんだ。

‥冷静になれ、冷静になって考えろ‥事故原因は何だ‥僕はアルファを完全に制御した‥そうさ、ドライバーの操作ミス‥それが真実‥二度と暴走はしない」

黒崎はポケットからUSBメモリーを取り出すと、机のPCに挿し込んだ。


TV関係者控え室

新谷ろんりは渋るマネージャーを強引に説き伏せ、今日もトークショーに出演する予定だった。

「なんか胸がぞわぞわする‥あの日と同じ感覚、始まったんだ‥何かは分からないけど、は今日もやって来る」


ロボットモーターショー屋外展示場

冬馬とうま佐伯さえきが話している。

「アメリカ支社からドライバーを呼ぶとは、黒崎の冬馬嫌いも相当なもんね」

佐伯はあきれた様に言った。

「シミュレーションの為には直哉なおやにスキルが近い方がいいんだろ」

冬馬は不愛想ぶあいそうに答えた。

「まあ、そういう意味では好都合だったんだけどね」

「ところで、例の準備はして貰えたか?」

一段トーンを落とした声で冬馬が言った。

「したけど、これってどんな意味があるのよ?」

佐伯も声をひそめて答えた。

「ドライバーの感って言うか‥念の為さ」

「何それ、説明になって無いんだけど‥」


TV中継車に偽装ぎそうした警察トラック車内

章生のもとに氷室から連絡が入る、

『そろそろディープスペース内ではデモンストレーションバトルが始まるよ』

「現実世界のデモンストレーションバトルも予定通り10分後に始まるそうです。

‥あの、事故は本当に起こるんでしょうか?」

『シミュレーションの話をしてるなら、99パーセントの確率で起こるはずさ。

現実の話なら僕の知ったこっちゃないけど、犯人が態度をあらためるか、小久保直哉が犯人だったら起こんないんじゃない、どっちにしろあとは調査官がどうするか次第しだいだと思うよ』

「もちろん現実の事故は防ぎます、に」

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