第22話

オンラインゲーム『バトルボッツ』空間内

インターミッション中の冬馬とうまRevれぼHから通信が入る。

『やあ、チャンプ!最近よく会うね』

「またあんたか‥俺はチャットしに来てる訳じゃないんだけどな」

『まあいいじゃないですか。言ったでしょ、僕はあなたのファンだって』

「ファンって‥」

『そうだ、一つ話のネタを提供するよ』

「だからチャットしに来てる訳じゃないって‥」

RevHから動画ファイルが送られてくる。

そこには戦場で武装した兵士と銃撃戦をするロボットが映っていた。

「バトルボッツのキャプチャー動画か?見た事無いロボットだな‥」

『確かにその動画はバトルボッツの隠れキャラとしてネットで拡散されたものだけど、こんな地形はバトルボッツの何処どこにも出てこないんだ』

「それで?」

『世界中の地形を照会したら、撮影場所は中東のペドロギスタンだと分かった。

ペドロギスタンは、4年前に旧政権が崩壊し、市民議会と軍部の抗争が激化した。劣勢だった市民議会をロシアが支援し新政権が樹立された。しかしペドロギスタンは核兵器を開発していると言われていたから、軍部の残党がそれを使ったら世界的危機だ、それを回避できたのは秘密裏に核兵器施設に潜入し、そこを制圧した有人ロボット兵器の活躍があった。ね、面白いでしょ』

「別に、興味ないな」

『じゃあ何故これを秘密にしなけりゃならなかったのか?

ロシアにはハヤセの自動車工場があるでしょ、ハヤセはひそかにロシア工場内でロボット兵器の開発をしていて、それを黙認していた日本政府とロシア政府の間でペドロギスタンへロボットを派遣する裏取引があったとしたら、それは秘密にするしかないよね』

「ハヤセがPDを兵器に使ったって言うのか」

『今もPDOSには戦闘用の機能があって、それが事故のトリガーになったとか』

「なら俺は兵器開発に加担してたって事か、笑えない話だな」

『まあ、あくまで噂だよ。そういえば、国交省の調査は進んでる?』

「調査官はディープスペースの中で事故を再現したいって言ってるが‥」

『その話、詳しく聞かせて!』

突然、通信に割り込んできたのはテスタロッサ(蓼丸論里)だった。

『おお!初めて聞いた、孤高の戦士テスタロッサの声』

RevHが感激の声を上げた。

『ねえ、モーターショーの事故を再現するって本当?』

「いや、氷室純正ひむろじゅんせいレベルの天才プログラマーが協力しないと再現は難しいらしい」

『氷室純正ってたった一人でディープスペースをプログラミングした人でしょ、しかもDDRの社長』

『それは中々高いハードルだね。でも、面白い事考えるねその調査官は‥』

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