特冊:フィジカルマニアック


特冊は考察記事になります。そのフィジカルマニアックとはです。



-TPDで言うと-

TPDで言えば、TPD後期のここが全て。全期通しての頂点とも言えます。


・VIDEO Cha-DANCE vol.13 4/4 東京パフォーマンスドール https://youtu.be/pvjbYv7BEW0 @YouTubeより


3:18の「BAD DESIRE」での、本当に一糸乱れぬ群舞。映像では巧みな引きに寄せのカットを入れていますが、「SPEED PER HOUR 270km」を客席から観ると、何だこのバイブスに、この一体感はです。

踊りとしては、今見るとシンプルかもしれませんが、軸の乗り方が倒れるギリギリを攻めています。身長はバラバラでも、シンクロして振り幅大きくすれば、大きな一体感になる最大例でしょうか。振り付けの中村龍史の慧眼たるやですか。

そして、新生TPDのメンバーがライブで死にたいとか言ってましたけど。後期TPDメンバーは、このBAD DESIRE」で死ぬかともSNSで言ってました。そのはちきれさに必死の生への執着を感じるのは、皆等しくでしょうか。


あとは、SONYなのに権利関係が緩いのは、恐らく円盤化しないから大目の処置と思います。YouTubeで収益プログラムが入る映像はそんな大人の事情と思います。




-フィジカルマニアックとは-

フィジカルマニアックとは私の造語です。フィジカルのリミッターがぶっ飛んでる方々を、いざまとめようと思った時に、敬愛込めてフィジカルバカと名付けてましたが、バカはないだろうです。

そこで、この前ちょっと見た映画「フラッシュダンス」の映画曲中の「マニアック」を付けました。


・Michael Sembello - Maniac (1983) (Official Video) https://youtu.be/324it5DKoXU @YouTubeより

1983年の映画ですけど、40年経てもここのレベルに達してる日本のパフォーマーがどれだけいるかでしょうか。ここは、どうしてもの体格差も有りましょう。冷たい事を言うと。女子でも170cm台に乗らないと、そのバイブスは発露しないかもしれません。


・Irene Cara - Flashdance What A Feeling (Official Music Video) https://youtu.be/ILWSp0m9G2U @YouTubeより

今更映画見ると、これほぼアイドルオーディションのそれかとリンクします。挫折挫折挫折束の間の栄光。一見ハッピーエンドに見えますが、オーディションに受かったのみで、作中にあったオーディションに埋もれる一群になる恐れもあるよと、ミーニングしてます。


これだけ充実した内容なら、フラッシュダンのミュージカルもは…海外で失敗しているようです。全公演全てでフィジカルマニアックが発揮される筈も無いとの認識でしょうね。新生TPDの事務所のキューブはこの辺オマージュして、上西星来でミュージカル作れば良いのですけどね。ただジョニーはモデルにシフトしてますし。


・バレエ界隈

バレエはその仕草全てにただ存在が有り、一見フィジカル全開でも、それをピタリと止める所作が伴わないと、頂上に届きません。

ただその中でも新星は生まれます。体操からソリストに転向したシルヴィ・ギエムです。


・Best of Sylvie Guillem https://youtu.be/vx1-Ns-L70c @YouTubeより

強力なフィジカル任せの振り幅もピタリと止まります。アート界隈全般に、フィジカルの波を起こした人物なので、ちょっと差し込みました。ギエム同世代以降で、同様のレジェンドが出て来ましたが、ニーナ・アナニアシヴィリ、アレッサンドラ・フェリ、ウリヤナ・ロパートキナ、マリー=クロード・ピエトラガラも興味深いです。


また漫画で言えば、「昴/曽田正人」と言う、フィジカルを武器にのし上がって行く逞しい儚い少女の物語があります。流れとしては面白いですけど、1部最終章は10回読まないと、主人公昴に共感出来ない部分も有り、週刊誌連載とは過酷なものだなとは思います。

映画化された「昴-スバル-」も有りますが、グローバルへの欲が出すぎた感は否めない平凡作です。宮本すばる:黒木メイサも賛否が今も尚分かれる所。バレエ作品なのだから、ソリストを役者にした方が、鮮明な躍動は長らく語られたかもしれません。




-日本のフィジカルマニアック-

日本のフィジカルマニアック。その歴史を、私の記憶で紐解くと大凡に上げます。


・ピンク・レディー / ペッパー警部 (1976) (4K AI Enhanced) https://youtu.be/gRpTAT5SGIY @YouTubeより

・ピンク・レディー / UFO (1978.02.26 OA) (4K) https://youtu.be/vP92PNnDErE @YouTubeより

・ピンク・レディー / サウスポー (日本作詩大賞) (1978.11.30 OA) (4K AI Enhanced) https://youtu.be/54MPhOgIYBE @YouTubeより

今となって振り幅コンパクトかもしれませんが、止めるところはしっかり止めるのが本家でしょうか。所謂フリまねする方が多くいますが、そこは止められずつい流麗になります。ここが本家との違いでしょうか。



・不思議tokyoシンデレラ セイントフォー https://youtu.be/n5LyiLc_yOU @YouTubeより

アーリーフィジカルマニアック。はちきれているのですけど、その当時の日本のお茶の間はでそこ迄求められていなかった側面もあります。と言うべきか、セイントフォーの主演映画があまりにも業界が如実過ぎて、媒体の露出が忌避されたのも有ります。


日本もフィジカルマニアックに乗れたかもしれませんが。松田聖子等々の80年台の輝きと、アイドルの楽曲の押し並べてのスノッブさがほぼで有り。TPDと言う特異点はあるものの、フィジカルマニアックはシフトフェイズはまだ起こりません。




-秋元康という鋭敏さ-

日本のアイドルのフォーマット化は進み。そこから、90年代、00年代を経て、10年代でアイドルグループAKB48がランキング上位にのし上がって来ます。秋元康は、ついのダメ出しが多いので、あらゆる可能性を模索した結果、フィジカルマニアックにどうしても辿り着きます。


・【MV full】 UZA -Dance ver.- / AKB48[公式] https://youtu.be/WIdWXhV33vs @YouTubeより

AKB史上S級難度のダンスが謳い文句。まず乗れている事で前のめりになります。トランスとプログレッシブハウスが昇華された作品で有り、再評価はEDMサウンド以降にされるかもしれません。


・SKE48 escape https://youtu.be/uu3OrbgCr-o @YouTubeより

公式のフルMVは、レーベルを跨いでの楽曲になる為、日の目の当たらない楽曲です。楽曲はEDMのシーケンスもプログレッシブハウスの音色と言う、案外不思議な曲。

センターは山田みずほの大抜擢が功を奏して皆を牽引。みずほの強烈の止めが鋭角的で有り、終わったあとは、皆がほぼ力尽きます。そんなは、AKBのリクエストアワーの以降の曲になると、SKEのメンバーの歌唱が息絶え絶えになるので悲惨な曲とも言えます。

山田みずほもフィジカルマニアックであリマスが、当時のSKEはそこ迄舞踏派集団に傾倒していなかったので、目立つ抜擢は少なかったのが惜しまれます。


・欅坂46 『不協和音』 https://youtu.be/gfzuzDrVRVM @YouTubeより

披露する度に、メンバー全員を奈落の底に落とす強烈な曲。表も裏もしっかり刻む為に、センスと体力は2乗を求められます。

それでも頂点にただ居残る平手友梨奈とは、何者なのか。各商業誌が欅坂に接触するも正解は無かった気がします。一つ思うのは、フィジカルマニアックを越えると獣性が露わになるのかとは思います。そこに精神面での切り替えが上手く出来るかは、10代では困難かもしれないません。それでも未だ成長中なのか平手友梨奈はですか。


・【MV full】 誰のことを一番 愛してる? / AKB48 [公式] https://youtu.be/9fbDHS8lRsE @YouTubeより

AKB・欅坂・乃木坂の連盟曲。全員がソリッドに踊れる筈も無いので鋭角な型を重用する事で、現代でフィジカルマニアックをコンスタントに公演出来る楽曲に仕上がりました。楽曲と振り着けによって牽引される演目があると言う事は、ただ貴重に思います。公演ではほぼ欅坂の曲になっています。そこから伸びる逸材もいつかは現れる筈ですけど、櫻坂46に代わったので、もう演じられる事は無いでしょう。


・乃木坂46 『インフルエンサー』 https://youtu.be/r4SdiT7mm7Y @YouTubeより

フィジカルマニアックの未来を指し示す楽曲。高速ダンスでも、振りを何が何でも止める事なく、流れを消さないのが多様性を感じます。秋元康が望んだ次世代アイドルは、AKBではなく乃木坂で成し得たのは、トライ&エラーが少なく救われたと見るべきでしょうか。





総じてのフィジカルマニアックとは、どんな状態からでも止めをする事でビートを体現する見栄でもあります。

ただ女性アイドルがそれを重用するとなると、無理をすると、筋肉に止まるべき運動が、関節に骨とダイレクトに行く為、何かと故障しやすいものです。いや何故表現出来ないと、メンタルにも作用するかもしれません。

女性の身体はそもそも壊れない様に本能でセーブされているので、フィジカルマニアックに踏み込む前に、程よく挫折する筈です。でもそれは深く悲しむ事ではなく、自らの身体にあった、別のダンス表現を見つけるのも、より幅広きアイドル活動の一つとは思います。



新生TPDとフィジカルマニアックは無縁かも。最後の最後の「DANCE SUMMIT The Final」で、上西星来と櫻井紗季が程よく振り切れてます。この二人はバレエ経験者で、尚且つ基本性格が優しいので、他のメンバーを見ては合わせるところは合わせています。程よくとはその縛りありきだからこそです。

厳しい事を言うと、新生TPDの活動で何か一つ足りなかったのは、時には独善的になった方が、専属ファンが喜ぶのを知らなかったのだろうとも思います。

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