砂の城 作:亜鈴ゆずさ

心臓がうるさかった

心臓だけがうるさかった

全部全部失って、もう何もいらない

うるさいだけのこの心なんていらない


寒い冬の海には 隣に温もりがあった

暑い夏の山では 僕は凍えているのに


冬になったら 温もりは戻ってくるの?

海に行ったら 温もりは戻ってくるの?


砂で塗り固めた嘘を愛で溶かすような日常が好きだった

でも 溶かしてはならない嘘だった?


僕はひとり

崩れてしまった砂のお城の心臓に穴を掘って

指先が触れ合うのを待っている


愛に縛られた自由

僕は砂のお城に囚われている


だから僕は自由の女神に穴をあける

これは遊びなんだ ただの

心を壊す

ただのひとり遊び

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る