山の上の銅像と危険な遊び? 作:匿名希望
ある雨の日のことです。
綺麗な少年像が、ずぶぬれになってお爺さんとお婆さんの家の前に転がり着きました。
それを見たこころやさしいお爺さんはびっくり。
汚れてしまった少年像を磨き、部屋に飾ることにしました。
しかし意地悪なお婆さんは、その像を置くことに納得がいかないようでした。
ある日、お爺さんは少年像から輝いたものが落ちていることに気がつきました
なんとそれは美しい赤褐色の銅片だったのです。
お爺さんはたまげて、その欠片を集めお婆さんに話しました。
「おばあさん、この少年が銅の破片をくれたのじゃ」
「まぁ! それはたいへんだこと!」
「うむ、いいことはするもんじゃのう。人は綺麗な心が一番じゃ。銅片は使い切れないから、みんなにわけよう」
お爺さんとお婆さんは少年像をなでながらにっこり笑いました。
しかしその晩、お婆さんは荷物をまとめ、像家を引きずりながら出て行ってしまいました。
銅片をみんなで分け与えることに不満を持っており、自分だけで独り占めしたかったのです。
お婆さんは山を越え谷を越え、隣村に行こうと考えていました。
ところが、雨が激しく降り、山を登り切ったところで、お婆さんの足は突然動かなくなっていました。
銅片が泥と混じり、重荷となっていたのです。
お婆さんは寒さも相まって、そのまま動けず倒れこんでしまいました。
次の日、お爺さんはお婆さんと少年像がいなくなっていることに気がつきました。
外に出かけ、落ちていた銅片を手掛かりに道を進んでいくと、お婆さんと像が一緒になって倒れていました。
お爺さんはにっこり笑って、お婆さんに銅を塗りたくり、山にもっていくのでした。
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