第9話 日本拳法で殴り合いをやるとバカになるか V.1.1 その一
日本拳法で殴り合いをやるとバカになるか V.1.1 その一
日本拳法とは、思いっきり顔面をぶん殴る(殴られる)ので危険ではないのか ?
誰しも、そう思うかもしれない。
結論から言えば、若いときに顔面(頭)を殴られるというのは、むしろメリットが大きいのではないかと思います。
私の叔父(父の弟)は、三歳のとき、12歳の父に背負われ数百人規模の(小中学生の)ケンカ巻き込まれ、数十分間、敵の投げる小石や石炭の塊を頭部に受けて瀕死の状態となり、家で3日間昏睡状態となりました。
また、父は弟の意識が回復するまでの3日間、親父(私の祖父さん)から毎日ぼこぼこに殴られ、3日間(痛みで)寝れなかったそうです。
しかしながら、戦後、叔父は明治大学法学部を首席で卒業し、三鷹市の職員として就職。常人離れした頭の回転の速さで出世し、40歳で三鷹市の教育委員長となり、その優秀さが人づてに伝わり最高裁判所の裁判長の娘と結婚、その後、教育委員長二期目の終わりには「次は三鷹市長になるように」と(上級国民)から指示を受けました。(叔父の話では、三鷹市の市長程度なら、マスコミ操作などせずとも、どうにでもなるのだそうです。)
結局、叔父はそういう(汚い)公務員の世界を嫌い、市長選への出馬を断り定年前に役所も辞めてしまいました。
12歳で父親から死ぬほど殴られて3日間寝れなかったという私の父も、子供のときは毎日ケンカで殴り合いをし、戦争中には軍隊で毎日、朝から晩まで(上官に)殴られていたのですが、戦後、日大の工学部を出て都庁に就職し、最後は水道局の局長となって退職、鹿島建設の参与として「天下り」しました。
都庁時代、東大出の上役と構造計算・強度計算で真っ向からケンカ(論戦)したせいで、八丈島・大島・小笠原と3度も島送り(総計8年間)になりましたが、そこまで数学ができたおかげで、畑違いの交通局の部長や水道局の局長になれた。二人とも子供のときに受けた「頭への衝撃」が、彼らの頭脳にいい影響を与えたのではないかと思うのです。
叔父や親父が、幼児(小学生)の頃に、死ぬ一歩手前まで頭に衝撃をうけた所為で頭がよくなった、というのはまんざら駄法螺とは言いがたい。
論より証拠、この私は頭が悪い。
親父が「数学だけは東大に負けない」と断言したほどであったのに、この私は中学・高校と、数学の成績は「2」でした。
「水木しげる伝」という漫画(実話)のように、水木さんは幼稚園児くらいの頃からケンカばかりしていた。当時の日本では、男は大人になったら兵士として戦争に行き死ぬものだ、と教育されていたので、子供の頃から皆ケンカばかりしていたのです。拳大の石を投げ合って歯が欠ける、失明する、頭蓋骨陥没なんていうのは日常茶飯事だった。そんなすさまじい日常でも「子どものケンカ」ということで、子どもが死んで(殺されて)親が裁判を起こすなんていうことはなかった。
水木さんは軍隊で毎日上官から殴られていたそうですが、私の父も同じだったようです。
そういう点では、人間の頭というのは結構頑丈に作られているようです。
私は、特に大学一年の頃、それも4月の日本拳法をやりはじめから、4年生にガンガンぶん殴られていましたが、それで頭がよくなったという感覚はありません。
ただ、日本拳法やり始めの3ヶ月間で、それまでの18年間に比べて「覚醒した」ような気がします。覚醒という言葉は、覚せい剤などという言葉に使われていますが、ほんらいは「厳しい修行によって釈迦が覚醒した」という意味で使われる。
私の場合、頭はよくなりませんでしたが、何かが吹っ切れたというか意識の位相と次元が広がったような気がします。
2021年8月12日
平栗雅人
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