第8話 Side サキ
紘希は学校へと出かけた。
朝ごはんは食べない主義のようで、私の朝ごはんは作ってくれなかった。
仕方がないから自分で作ろう。
ご飯、サラダ、卵焼き、味噌汁
うん、これでいこう。
完璧な朝食を作ろうと意気込んでキッチンへ向かった私だったが、数分後、自分の選択を後悔した。
数分でキッチンは地獄絵図と化した。
そうだ、私料理したことないんだった。
私は朝食を求めてコンビニへ向かうことにした。
片付けは紘希にやらせよう。
朝食を食べ終わって一息ついて私はこの家の探索をすることにした。
もしかしたら守護の印突破の手がかりがこの家にあるかもしれない。
紘希の部屋、私の部屋、キッチン、トイレ、リビングと全部探してみたがそれらしいものは無い。
途中、紘希の部屋で見つけたエロ本は捨てておいた。
汚らわしい。
あと探してない部屋は和室だけだ。
この部屋は仏壇があるから踏み入るのは躊躇していたのだが、仕方がない。
意を決して探索してみた。
結論から言うと、めぼしい手がかりは無かった。
しかしこの部屋に微かに残る特別な霊力。
仏壇にあった最近動かした形跡。
この部屋が守護の印に関係していることは確かなようだ。
ただ、決定的な手がかりは無かった。
もう少し様子を見るしかないか。
時計を見ると12:15分だった。
キッチンは朝のままで使用できないので、先程コンビニで買っておいたおにぎりで昼食を済ませた。
昼食を食べ終わり、意外と暇なことに気がついた。
そこらじゅう探し回って手がかりがないとわかった今、1人でこの家ですることはない。
よし、学校に行こう。
窓の外から紘希の様子を観察するのだ。
人が多いから攻撃はできないが、透明化して窓の外から覗くことくらいはできるだろう。
そうと決めたらすぐに学校へ向かった。
学校では午後の授業が始まっていた。
1階からひとつずつ探していく。
1階は職員室や会議室などが入っていて生徒はいなかった。
2階はからは普通の教室のようだが、このフロアに紘希の姿は見られなかった。
紘希は3階にいた。
眠そうな顔をして授業を受けている。
奥の方に春乃も見つけた。
綺麗な姿勢で真剣に授業を受けている。
さすが春乃、紘希なんかとは違う。
しばらく紘希の様子を観察していると、紘希はこちらに気がついたようだ。
なんでこいつ透明化した私が見えるのよ。
あの特別な霊力が関係しているのかしら。
紘希はだいぶ慌てている。
そんなに慌てると不審よ。
私は口パクで私の姿があなた以外に見えていないことを伝えるとようやく落ち着いたようだ。
それでもチラチラこっちを見てくるのだけど。
ホームルームが終わってしまった。
特に目立った隙は現れなかった。
そしてやはり教室は人数が多くて攻撃するのは難しそうだった。
下校中も空から監視を続けてみよう。
しかしそれでも守護の印に目立った変化は見られなかった。
結局何の成果も得られないまま家に帰ってきてしまった。
今日わかったことといえば紘希にはあまり友達が居ないということだけだ。
春乃と一緒に帰ってた友達以外に楽しげに話してる様子を見かけなかった。
こちらとしては気負わず殺せるからいいことなんだけどね。
紘希が玄関の前からこちらを睨んでいる。
なによ、その目。
理由はわかっているけど元々こいつがイタズラで私を召喚したのがいけないのだ。
いろいろ問いただされることを覚悟して、私は紘希の前に降り立った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます