第3話

「いきなり、連れてこられて困惑してるだろ?ごめんな。でも、ここにきたってことは、君も何か思うところがあるんだろ?」


「当たり前でしょ。あんな脅迫じみた、手紙送れば誰でもくるよ。」


「いいえ。たとえ、脅迫文だったとしても僕はここにきていたと思います。」


「そう言うと思ってたよ。それなら話は早いね。じゃあ、君はこの世界をどう思う?いい世界かな?それとも・・・」


トップは不敵な笑みを浮かべながら僕に問いかけてくる。見透かしたように。


「どういった世界がいい世界なのかはわかりませんが、この世界が愚かだと言うことは知ってます。時間に追われて、無知をいいことに自分の主張だけする。その言葉の背景や、意味、成り立ちすら知らずに誰かわからないことをいいことに傲慢な暴言を吐く。人間の腐った部分が出てきていると思います。」


「だいぶ溜まってるみたいだね。それに関しては同意見だよ。人間は便利になればなるほど、欲深くなるものだ。時間に余裕ができて、自分のことに時間を使いだす。子供には集団の大事さを問いておきながら、自分の主張ばかりをして、裏では、個人を傷つけるために暴言をいとも容易く口にする。その自分も、裏で悪口を言われているとも知らずにね。自分のための時間が増えていくごとに、自分の価値がなくなっていくことに気づかない。実に愚かだ。だったら、君ならどうする?」


「自由を規制します。もともと、自由というのは、法の中での自由しか認めてられていない。それを知らない人が多すぎる。他人の自由を侵害してまでも、自由を主張する人間に自由は必要ない。人間は誰しも、生まれながらに自由ではない。法のもと、責任が取れるようになってから初めて人は、法の中での自由を手に入れられる。それを厳格化します。」


「君何歳だっけ?」



「中学3年ですけど?」

「うん。わかった。これからよろしくね。今日は君の話が聞きたかっただけなんだ。帰ってもいいし、ここにいる人と交流してもいい。楽しめる舞台は用意してあったろ?自由に過ごしてくれ。帰りたくなったら、君専属のボディーガードに頼んでね。」


僕が振り返ると、ここまで送ってきてくれた男が笑顔で答える。


「これからよろしくお願いします。」


男は深々と僕に頭を下げた。


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