第2話

僕が連れてこられたのは、明らかに誰も住んでいなさそうな、廃墟だった。


「では、中に入ってください。」


何か出そうで、少し怖かったが、恐る恐る廃墟の中に入っていった。中は完全に廃墟。ボロボロの布と、ガラス片が床に散らばっていた。


「ああ、またこんなにして。カモフラージュが過ぎるんですよね。片付けるのが誰かわかってないのかな。」


男は、ため息を吐きながら、自分を1番奥の部屋に案内した。


「では、ここから地下に入ってもらいます。」


床に雑におかれた薄汚れた布を捲ると、金庫のように厳重に閉められた扉が出てきた。男は、パスワードと指紋認証、網膜認証、さらに、自分のマイクロチップを読み込ませた。


「ここまで厳重にするなら、警備隊でも雇えばいいのにって思いません?一応、核シェルターになっているので、かなり頑丈な作りにはなっているのですが、心配性な性格の持ち主がいるのでここまでしないと落ち着かないらいいんですよ。」


そう愚痴をこぼしながら、重そうな扉を開ける。そこから下に続く階段が姿を表した。


「では、中にどうぞ。みなさん、お待ちだと思うので。」


僕は男に連れられ、階段を降りた。



階段を降りると想像の何倍もでかいことに驚いた。大きい廊下に均等に並べられた扉。殺風景だが人が暮らすには十分すぎる施設だった。僕は男に案内されながら、奥へ奥へと足を進める。施設の中には、プールやジム、カラオケ映画館、漫画まで置いてある図書室なんかもあった。これは1日いても飽きなそうなくらい充実していると思う。夏休みの学生なら、ずっとここにいれるくらいの充実ぶりだった。


階段を何段か降りたあと、大きな扉の前に案内された。


「ここで皆さんお待ちです。では、対面の覚悟をお願いします。」


男は、大きな扉を開けた。そこには大きな円卓に自分と同じ年代の子供たちが集められていた。


「ようこそ。歓迎するよ。」


自分から1番遠いところに座っている、一応年長者のような人が話しかけてきた。


「初めまして。僕の名前は・・・」


「ああ、名前はいいよ。個人にはあまり干渉しないことがここのルールだから。そこに座って。」


言われるがままに、僕は目の前にある椅子に腰掛ける。


「では、君をここによんだ経緯を説明しようかな。僕のことは、トップとでも読んでくれるかい?一応、ここの責任者だからさ。」


年齢見合わない喋り方をするトップと名乗る人は、ここに集められて子供の役割を僕に語りかけた。

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