第3話神社の中には
其処は周りに、生け垣のように、表面がのっぺりした、濃緑色の葉っぱの木が植えられていた。中央にある門は、風で金具が外れたのか、扉が開いていて、中が見えてしまっていた。
門の中には、膝くらいの高さの石があった。石は六つあり、円形に等間隔で置かれている。その中央には、白くない百葉箱のようなものがある。その百葉箱の足元には、石製の台があり、左右に花が生けられている。
他にも何かないかと、皆で門を潜って中に入った。皆で、ぐるりと中を見回してみても、それ以外の物は置かれていなかった。
「なんか、此処だけ仰々しいな」
「だよねえ。何か、此処だけ特別って感じがする」
田中君の言葉に、麻子ちゃんも肯定の言葉を返した。しかし、鈴木君の意見は違った。
「その割には扉が開いているけど」
其処は、鬱蒼と茂った木に囲まれて、その中を見ることはできない。それなのに、扉はあけ放たれている。私もそのことに、違和感があった。
「人が来ないから、風で開いて、そのままなんじゃないの?」
田中君の言葉で私は、納得した。扉に付いている鍵は、摘まみを回して鍵をかけるタイプだ。だから、風の振動や経年劣化などで、開き易くなっているのだろう。しかし、鈴木君は、そうは思わなかったらしい。
「でも、大事な所なら、他所の人が入らないように、錠前みたいなので、しっかり、扉に鍵かけておかないか?」
「そうだけど、でも、此処って神社なんだから。お参りできるように、鍵、掛けないんじゃないの?」
そう言えば、此処は神社で、お参りをする所だ。麻子ちゃんの言う通り、人が来ることを想定して、簡単に出入りできるようにしているのだろう。
「お参りする所なのか、此処?お賽銭を入れる所が、見当たらないけど。何か、神社って云うよりかは、お墓みたいに見えるんだよな。此処」
「ちょっと、鈴木、止めてよ。怖いこと言わないでよ」
「まあ、俺たちも、神社に詳しい訳じゃないからさ」
田中君の言う通りだ。この神社に、どんな神様がいるかも知らない。だから、もしかしたら、こんな感じの神社も、珍しくもないのかもしれない。
開いていた扉を、閉めるかどうかで、悩んだけど、此処に来たことがバレない様に、来た時と同じ状態にしておく事になった。その後、ついでにお祈りしておくことになった。
お賽銭を入れて、鈴を鳴らして、手を叩く。何を願おう。このままずっと、みんなと仲良しでいたい。とお願いした。
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