第3章

どうやら俺は約1200年前の日本にタイムスリップしてしまったらしい。


正直まだ信じきれていない。


というより現状を受け止められていないといったほうが正しいか。


しかしいつまでもこうしてはいられない。


もう太陽の半分が地平線の下に沈んだというのに今の俺には衣食住のうち衣食が整ってないのだ。


衣に関しては高校のワイシャツとズボンを履いているからなんとかなっている。


まあこの時代にこの格好をしていれば日本人じゃないと思われても仕方がない。


ひとまず何かを食べなくてはならない。かといってこの時代のお金を持っていないので何か変えるわけもないし、そもそもどこの店もこの時間には店を閉め始めている。


タイムスリップから約3時間、唐突に俺の平安時代サバイバルは始まった。


ここらで俺の所持品を紹介していこう。


まずは財布だ。中はだいたい1万円弱。この時代なら紙幣より小銭のほうが価値が出そうだが残念なことに小銭は500円あるかないかってとこだ。


次にハンカチにポケットティッシュ。


それとスマホ。この時代に来てすぐ電話をかけたり色々してみたが使えそうになかったので電源は切ってある。


あとはばあちゃんの形見の首飾りをつけているくらいだ。


幼い頃からばあちゃんっ子でそのばあちゃんが亡くなる数日前にくれたものだ。


名前とかはわからないが丸くて青い宝石がついたきれいなネックレスだ。


所持品は以上だ。どうやら元の時代で身につけていた物しかもってこれてないようだ。授業中だったから大したものは持ってこれていない。


結局、これらの所持品は何のあてにもならなそうだ。


もう日は沈んであたりは薄暗くなってきていた。


肉体的にも精神的にも疲れてきた俺は空腹をごまかすように茶屋の前に置かれた長椅子に横たわり日を明かすことにした。


先が思いやられる。まさか平安時代でホームレスになろうとは思ってもみなかった。


どうせなら漫画やラノべのように俺最強が良かった。


どうやら現実はそう甘くはないらしい。


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