第2章


あれからどれくらい眠っていたのだろうか。


「小僧!そんな所で寝てたら危ねえし邪魔だぞ!」


おじさんの声で起こされると俺は道のど真ん中に寝転んでいた。


かなり遠くまで続いている一本道の両端にはどこまでも商店が立ち並んでいて、街は活気にあふれている。


さっきまで学校にいたはずなのに俺はいつの間にこんなところへ来たんだ、、、


いや待て、何かがおかしい。


まず服装だ。往く人来る人、誰を見ても着物を着ている。


そして髪型だ。マッシュヘアーの人などどこにもいない。


道行くすべての人がちょんまげに近いが何かこう、雛人形の髪型っていう表現がしっくり来る髪型をしている。


次に建物だ。どの店を見ても屋根まで木造だ。コンクリートやガラス窓すら見つからない。


俺はいつどうやって学校から時代劇の撮影場所に来たのだろうか。


数分間思い出そうと努力したが、学校で眠ってからの記憶は一切なかった。


俺はまさかタイムスリップしてしまったのだろうか。


そんなラノベみたいな展開あるはずがない。


気がつけば徐々に日が暮れてきている。


このままではらちが明かないので思い切って通行人に聞き込みをしてみた。


「すみません、今って西暦何年ですか?」


「なんだい西暦って、そんなものは知らないよ。」


たしかに仮にタイムスリップしているとすると西暦を当時の日本人が知るはずがない。


「えっと、、、じゃあ今の元号は?」


「元号かい?今は承和だよ」


承和なんて聞いたこともない。一体いつの時代に使われていたんだ。


「それよりお前さん変わったお召し物だね、日本語しゃべるまで唐の御使いの方かと思っていたよ。」


唐、、だと。殷、周、秦、漢、三国、晋、南北、隋、唐、、、の唐なのか。


もしもしかめよのリズムで俺は呪文のように例えた。


そして俺はしばらく黙って考え込んだ。




どうやら俺は平安時代にタイムスリップしてしまったらしい。

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