キスの味を甘くしよう。
第5話
キスした後の2人は顔が赤かったが、歌やリコーダーを楽しむ時はいつもの2人に戻っていた。そして、夕方が来て、テトラと別れた。
それにしても……人魚にもキスに特別な意味があったんだ!! 唇を捧げた人と思い遂げないと泡になって消えてしまう。
口づけた唇に指を持って行く。うわあああとベッドの上でゴロゴロしてしまう。このあたしの唇にテトラの唇が重なったんだ。やっぱりキスって恥ずかしい!! キスという単語を聞くだけでも恥ずかしいのに、実際にするってなったらもっと恥ずかしい!! 大人な行為なんだなぁ。今日、あたし、大人の階段上ったんだ。キスってもっと歳を重ねてからするものだと思ったけど中学生でするなんて早い経験者かな? それとも皆内緒にしているだけでキスしているのかな?? その先は……流石にまだだよね。あたしもまだだと思う。というより、人魚との重なり方ってどうやってするんだろう?? ポーッ!! また顔が熱くなってきた。やかんみたいに沸騰しちゃいそうだよ!! あたし、テトラに恋心持っていたんだ……。友達だと思っていたのに、キスをしたと意識した途端、恋心に変わっちゃった。テトラも今、あたしのこと考えてくれているのかな? 今度はあたしのことどう考えているかを知りたくなった。明日、聴こう。そして、明日もキスしちゃおうかな。明日は今日みたく海水の味じゃなくて、レモンみたいな甘酸っぱい味にしちゃうんだから!! いや、酸っぱさはいらないな。とびきり甘い味にしちゃおう!!
甘いもの何がいいかな? ケーキを持っていくことにしよう! 保冷剤も入れないとね。クリームが解けちゃう。どうやって作ろうかな。スポンジは……食べ応えがあるようにホットケーキに生クリーム塗ってケーキにしよっか。我が家ではホットケーキがよくでてくるからホットケーキ粉は切らさずにあるしね。さて、今から作って冷蔵庫で冷やしておきますか。ホットケーキミックスを混ぜる。そして、フライパンに丸い形に敷いて焼き、しばらくしてひっくり返す。2枚完成した。そして重ねて、混ぜて作っておいた生クリームを塗っていく。全体に生クリームを塗って、苺を飾って完成。手作りケーキができた。これで明日のテトラへのデザートができたぞ!! あとラップをして、冷やしておこう。明日も歌にリコーダーにそして、お弁当を楽しもう。ではお休みなさい。
そして、あっという間に朝が来た。最近は充実しているからか1日の巡りが本当早い。ケーキはケーキ用の箱に入れて、保冷剤も忘れずに。後は使っているものはリュックの中に予め入っているから「行ってくるね」
「行ってらっしゃい。今日はケーキを食べるのね」
「そうだよ、友達にあたしが作ったケーキを食べさせたいなと思って」
「料理もするようになって……お母さん嬉しい。仲良くね」
「わかってるって。行ってきます!!」
テトラ喜んでくれるかな。甘いもの好きだと良いけど。あ、でも卵焼きも甘いから甘いもの好きかも。
いつもの海辺に着く。テトラを呼ぼう。
「す~。~♫」
「~♫」
そして、最後までユニゾンで歌いきる。
「おはよう、テトラ!」
「おはよう、有理紗」
「今日はね、ケーキを持ってきたんだ! お弁当食べ終わったら食べるデザートだよ!! あたしの手作り!!」
「まぁ、それは楽しみ。ありがとう」
「まずは、歌おう!! 今日もアニメソング歌おう!! あたしにとっては懐かしいけど……ではいくよ!! ~♫」
「~♫」
やっぱりテトラは上手いし、覚えるのが早い。
「今日は歌の他にも音楽理論の勉強もしてみる?」
「うん」
あたしは鍵盤ハーモニカを取り出した。
「じゃあ、あたしが出す音と同じ音程を歌って。例えば、ドならド、レならレってね」
「わかった」
ドー♫
ド~♫
レー♫
レ~♫
――――――――
「一オクターブ歌い切ったね」
「オクターブ?」
「オクターブというのは、ドレミファソラシドの8度上下を表す言葉だよ。鍵盤ハーモニカだから音域がないけど、ピアノだったら全部歌えちゃいそうだね、テトラ」
「大袈裟だよ、有理紗。私にだって歌えない音域あると思うよ」
「はぁ、ピアノで試したいなぁ、そうすればテトラの音域が証明できるのに」
「もう、買い被りすぎだよ」
「ピアノをどうにか、ここに持ってくることできないかな? それかテトラに脚が生えてくれば……」
「どちらも無理よ。ピアノはたとえ持ってきても海水でダメになるし、脚は魔女に声と引き換えにって御伽話と同じよ」
「そうか……。仕方ない。お弁当にしよう。ほら、テトラ、ケーキもあるよ~」
「わ~美味しそう。お弁当にはいつもの黄色いふわふわしたの入っている?」
「卵焼きね入ってるよ! はい、テトラの分」
「ありがとう。いつも悪いわね。何かお返しできれば良いのだけど」
「いつも遊んでくれているからそれで良いんだよ」
お弁当を食べ終わればいよいよ、ケーキだ。さぁ、キスの味は甘くなるかな。
心の準備もしておかないとね。どうやってキスに持って行こう?
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