第2話
彼はごく平凡な夫婦の元に生まれた。待望の第1子であったため相当可愛がられて幼少期を過ごした。しかし彼は子供らしい気まぐれやで自分の思い通りにならないと癇癪を起こすような子であった。そんな子も、4歳になる時に妹が生まれ、それはそれはお世話に従事した。妹がお漏らしをすれば、シャワーに入れさせ、着替えをさせて床掃除をした。周りから見たら、良い兄であったと思う。それもきっと、母に褒められたいという一心だったのだと思う。
時は経ち、兄は中学生になり、私は小学校3年生になった。彼が変わったのはその辺だったように思える。中学生になり、責任感と協調性が求められ、楽しいだけでは生きていけないことをわずかながら突きつけられる第1ステップで彼は躓いた。どうして自分はしたくないのにしなければいけないのか、どうして言うことを守らねばならないのか、彼は理解ができなかったし、周りがそれに順応していくのにもついていけなかった。自分だけ小学生のまま取り残されてしまったのである。提出物には必ず期限があり、それを守らなければいけないため、逆算して早めに取り掛かる、年上を敬う、周囲の様子から見様見真似でできるような事が彼にはできなかった。周りを見る必要も感じなかったし、なぜ同じようにしなければいけないのか分からなかった。だって、タスクとしてやれと言われていないから。僕の仕事ではないから。少しずつ周りと自分との違いにモヤモヤしてきたのであろう、その頃から妹である私への嫌がらせは始まったのである。13年経った今でも鮮明に覚えている嫌がらせをいくつか紹介したいと思う。
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