第3話 感想を受け付けたくない場合
新人賞を目指していくにあたって、誰かの感想を受け付けたくない、そもそも他人の意見を当てにしたくない、と思う方もいるかと思います。
私自身もそうでした。初期の頃は批判的な意見をもらうと、「は? そんなわけないだろ」「なんでそんなどうでも良い所に言及しているんだ、もっと長所見てくれ!」と利己的な思考をした時もあります。
ただ、これもありがちな状態の一つではあります。
ライトノベル作家を目指す場合、大体の方は、「自分もあんな作品が書きたい」「ああいう作家みたいに大ヒットして儲けたい!」「自分の理想を書きたい!」「あれくらいなら俺にも書けるんじゃね?」など、承認欲求や憧れ、金銭欲、理想追求、自己顕示欲などが大きな理由かと思います。
それは自覚していたり、していなかったり個人差はあると思いますが、多くはそうだと思います。逆を言えば、「他人の批判に慣れていない」作者も多いかと思います。
なので、感想をくれた人に、「そうだよね、判った」と――口では、あるいはネット上では受け入れたつもりでも、本心では「いや面白いから!」「その感想、間違ってるから!」と思ってしまう場合もあるかと思います。
ライトノベル作家への、第一の壁がこれです。
『他人の感想を受け入れること』
そもそも自分の理想や夢のために書いているのに、他人の感想をなんで受け入れなくちゃ行けないの? 自分の才能だけで行けるでしょう? と何割の方は思っているかと思います。
あるいは、感想を貰うことに抵抗はないけれど、それによってダメージを受ける、弱気になってしまう。「あれ? 自分って才能ない?」「駄作しか書けない?」と、傷を負ってしまうパターンですね。
人によってはあっさり突破出来る壁ですが、出来ない人は何年経っても出来ない。厄介な壁だと思います。
対策としては、「別に自分の人格が批判されてるわけではないと理解する」「慣れる」「売れなかった作品を読んでみる」ことでしょうか。
作品を批判されると、つい自分が批判されてると錯覚する方もいると思いますが、
(自分の理想を詰め込んだ場合、自分の理想≒自分を否定された気になる)
と考える場合もあるかと思います。
けれどその場合、「批判は批判、自分は自分」と、区別する事は重要です。
感想を送った側はあくまで作品に関して述べただけで、作者を批判したわけではないので、そこは意識して分けて考えるべきです。
前述通り、私もこの壁に突き当たり、突破するのに苦労しました。
私がこれを克服出来た契機は、「読んでくれた人は、それだけ自分の時間を割いてくれた」と理解した時です。
小説は読み物なので、漫画と違って数分で読破なんて出来ません。基本、一時間から二時間くらいは掛かってしまうと思います。
誰かの時間を二時間も奪う。あるいは費やしてもらう。
――これは、結構な労力です。それだけの時間があれば、他のアニメや映画を見ることも出来るのですから。
本来、娯楽のために使えた時間を、『作者のために』使ってくれたのです。
善意であれ義務であれ、それは結構な労力です。その事実を実感したとき、
私の中で小説は、「自分の理想を相手に読ませるもの」ではなく、
「相手に自分の物語を読んでもらうもの」へと変わりました。
読む人の時間を割いて、その代わりに感想を貰う。なので、作者が怒るのも落ち込むのも本質として間違っているわけです。
ではどうすればいいか?
簡単です。貰った感想を元にして、作品を向上させることです。
次回は、感想について記していきます。
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