四人の誓い

 話し合いはアイジュとキイノの部屋で行うことになった。キイノも少し体調が回復したらしく、迷わずに話し合いに参加した。

 四人で円を作るように座る。右回りにフウリ、アイジュ、タイト、キイノの順で顔を突き合わせた。

「さて、じゃあ始めよう。.....でも、何を話せばいいのかな?」

 アイジュが先陣を切って行こうとした。が、確かにいざ話せと言われると困るものだ。タイトがそれに続く。

「俺たちはまず謝らないとじゃないか?.....朝が弱いことを理由に、チームの活動に迷惑をかけた。すまない」

タイトが深々と頭を下げた。

「私も時間ギリギリでしか行動できてなかった。特殊警備隊として自覚が足りなかった。そんな人がチームの指揮なんて取れるわけないのにね....ごめんなさい」

アイジュも頭を下げる。

 少ししてアイジュが頭をあげると、今度はキイノが小さく手を挙げた。

「私も謝りたいことがあるの」

「キイノが?別に、特にチームに迷惑かけたりはしてないよ?」

アイジュがフウリやタイトに目で確認しながらキイノに言う。確かに思い当たる節はない。むしろチームのためにスケジュールを組んだりと役に立っていたように思える。

 キイノはふるふると小さく首を横にふり、話し始める。

「ううん。....私、スケジュール組んだはいいけど、現実的に実行しようとはしてなかった。ほら、施設使えなかったでしょ?あれ、事前に予約とっておかないとほぼ使えないんだって。それで、夜に無理して予約したりして体調崩して....ほんと、一番やっちゃいけないことだよね」

 ごめんと小さく、だが強く謝った。キイノの告白を否定することはできなかった。何をするにしても体が資本である。それが特殊警備隊という人一倍体を使う仕事であれば尚更だった。

「あ、あの、俺も言いたいことが」

「わかってる。ここまできて一人だけ何もなしなんて、そうはいかないわよ?」

アイジュがニヤリと笑ってみせる。それに二人の顔も笑顔が見え始めた。やはりアイジュはチームを回すのがうまいとそう思った。

「えっと、俺が謝りたいのは....何も言わなかったこと。考えてたことを勝手に必要ないやと思って黙ってた。ほんとはチームのためになることだったのに、それを言わなかった。ごめんなさい」

頭の中でばかり考えて、行動しようとしなかった。チームのために動こうとしてはいなかったのだ。

「でも、俺はほんとにこのチームがいいと思ってる。今までは友達ってだけだったけど、多分、特殊警備隊白虎軍として最高のチームになれると思うんだよ!それぞれが別々の能力を持ってる、絶対うまくやっていける....だから、絶対ここでばらけたりなんかしちゃダメなんだよ!」

 心の底からそう思った。だからチームのために今、伝えたかった。理由だって挙げられるけれど、でもそれが必要ないくらいに彼らのことを信じているのだ。この人たち以外に、これだけ信じあえる人はここにはいないのだ。

「ったく、恥ずかしいこと言ってくれるねフウリは」

 タイトが頭を掻きながら言った。

「ほんと。私なら恥ずかしくて到底言えないわ」

キイノが苦笑しながら言う。

「でもそうだね!私たち、一緒じゃなきゃ!」

アイジュは満面の笑みで。

 アイジュが真ん中に自分の拳を出す。

「ほら、みんな手出して?こういうの大事でしょ?」

「いやでもちょっと恥ず....っておい!キイノ!」

「アイジュが言ってるし、私もこういうの大事だと思うよ?ね、フウリ」

「うん。俺もやりたいし」

「あのなぁ....てか、朝はごめん。その、余裕なくて」

タイトがばつが悪そうに、だがフウリの方をじっと見て言った。

「いいよ。....余裕がなかったのは、俺も同じだから」

「ちょっと、早くやるよー。....よし、私たちはこれから白虎軍として最高のチームになる!そして、人々の平和を守る!高い給料分の仕事をちゃんとする!それから....」

「いや何個やるんだよ」

「ちょっと多くない?こういうのって一個とかだろ」

「じゃあ次で最後にしよ?それで最後はどうするの、アイジュ」

「うーん、そうだな.....あ!」

アイジュがにっと口角を上げた。

「全員、必ず生きて帰ろう!」

 あまりにも切実なそれに、苦笑と失笑が混じりながら全員が拳を掲げた。

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