第4話 昼飯

「ゴクリ…、ジュルリ…」

お…美味しそうだ…。この煮込みハンバーグ…。

んっ?!こっちには、パエリアが!

「むしゃむしゃむしゃ」

おいしいー!流石、スペイン料理!

あっあとそれとお寿司もっ!

「パクパクパク…」

〜5分後〜

って、まだあと20分あんじゃん…。

僕は、今、家庭科の教科書に載っている「世界のお昼ごはん」を見ている。そしてそこに乗っている世界の絶品料理を脳の中で疑似再現し、食べるのだ。

今は、授業四時間目。最もお腹が減る時間である。教卓では、家庭科の先生がぺちゃくちゃと裁縫について語っている。

そんなもん知るか。

「空腹とは、最高のスパイスである」と言うように腹を空かせた状態で食べる弁当が一番うまいのだ。

だから僕は、今、美味しそうな料理を見て空腹をあおっている。

しかし、まだ授業は、終わらない。ちらりと横の田中を見てみる…って、おいっ寝てんじゃねぇよ。心のなかでそう叫ぶ。

アイツは、もう夢の世界へ行ってしまっている。

な、ならば…。

そのとき僕は、ふと窓の外を眺めた。

すると遠くの方に大きな建物?があった。普段見かけない何十メートルものある建物だ。

すると、少しずつその建物の形が見えてきた。

そしてまた"それ"が徐々に大きくなってくる。

「ん、あれ…違う、大きくなってるんじゃなくて近づいてきてるんだ。」

それは、走るようにしてこちらへ向かってくる。

「な、何だ…あれは、」

僕は、もう、"それ"に釘付けだった。

そして目の前に近づいてきたとき、ようやく分かった。

それは、人…であった。そして、僕と同じ顔をした、。

僕の見える範囲、"それ"の体は、真っ白だ。

窓には、とてつもなくでかい目が張り付いている。

全く僕と同じ顔をしながら、ギョロリとこちらを見る。すると首を震わせながら傾かせ「パシュンッ」音がなったと同時にその、首は、消えた。

えっ…?、

しかし「首」が消えただけであってその下の肩は、まだ見えている。

するとまたゆっくりと窓から肩を離していき、そのまま、窓の目の前で直立した。全身真っ白。そして首がなくなったその断面から「ブシュッッ」

真っ赤な液体が弾け飛んだ。勿論、こちらへ飛んできて思わず目を瞑った。

そして恐る恐る、目を見開くと…、

そこには、もう何もなく家庭科の授業も終わり、皆お弁当を食べていた。

「ああ、腹減った…」

僕は、そう言い、弁当をカバンから取り出した。


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