「センパイ、長瀬クンが!!」
「ストレートに言わないとお前気づかないだろ!!」
「何それ! 酷い!」
ギャイギャイと2人して言い合いをする。センパイの家にとなるとなるともちろん長瀬クンがいる。私とセンパイとの関係をよく思っていないため、お泊まりで何か言われるかとは思っていたがここまでとは。
全く!! なんてやつだろうか。
「とりあえず! 何かしてみろ! ぶっ叩くからな!」
「か弱い乙女を殴るの?!」
「お前ゴリラだろ」
「待って。マジトーンで言わないで?」
長瀬クンにマジレスをすると「ふんっ」と言ってゲームに戻ってしまった。ピコピコと可愛らしい選択肢音に可愛い画面。完全に黙ってやっていたらほのぼのした雰囲気なのに。
私はそんな長瀬クンを横目にキッチンへと向かう。
「おや」
入ろうとしたら丁度センパイがキッチンから出てきた。危うくぶつかってしまうところだった。危ない危ない。
「すみません。大丈夫でしたか?」
「はいっ。こっちこそすみません。手伝おうと思っていたんですが…」
「いえ、大丈夫ですよ」
私はそう言うセンパイの持っているお皿に視線を向ける。恐らくトースターで焼いたであろうトースト。その上にピーマンとチーズがのっていて、チーズはとろけている。
「わぁ! 美味しそうですね…!」
「有り合わせのもので作ったピザトーストです。 もう少し具材があれば良かったのですが…」
「いえ! 凄く嬉しいですっ!」
ニコッ、と笑うとセンパイも嬉しそうに笑った。それから2人でキッチンへと戻る。あぁ、なんだか同棲している気がする。幸せである。
「……………」
こちらを睨む長瀬クンがいなければ。
…………な、なんかすごい睨まれている…。
凄く食べづらいなぁ、と思いながら私はソファーに座り、「いただきます」と言ってからトーストを齧る。
ほんのりとトマトソースの味がする。ケチャップではないトマトソースがあるという事は長瀬家はかなり料理をするのだろう。チーズも絶妙にとろけていてピーマンとよく合う。
「美味しいです!」
「そうですか? 良かったです」
隣に座るセンパイに正直に感想を言うとセンパイは嬉しそうに微笑む。あー…。幸せである。
「……………」
こちらを睨む長瀬クンがいなければ。
「アノ…。長瀬クン」
「何?」
「あまりこちらを睨まないでもらって…」
「睨んでないんだけど?」
ひぃん! 怖い! なんか言い合いしている時よりも怒ってて怖い! なんで!!
「優二。優良さんはお客さんなんですからそんな態度を取ってはダメですよ」
「………」
「やっだァ! センパイ! 私たちもう家族みたいなものじゃないですかっ!」
「このクソ女!」
「中指立てないでッッ!!」
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