「センパイ、急すぎません?」
「優良さんはトッピングどうするんですか?」
センパイはカウンター席に着くなり私にそう聞いてきた。店内が外よりも暑いからなのか上着を脱いでいるセンパイは少し大人っぽかった。
「えっと…。そうですね…。ニンニク…マシマシ…、いやでもセンパイいるし…。野菜はマシマシにしてもらって…、うーん…」
「優良さん、僕がいるからなんて考えなくて大丈夫ですよ」
「えっ。本当ですか…、じゃあ…」
そう言って私はトッピングリストから顔を上げた。
「ニンニクと野菜マシマシでお願いします」
「分かりました。僕はそれにチャーシューも追加する事にします」
センパイはそう言うと店主にそれぞれのトッピングを伝える。店主は寡黙な人、という訳でもなかったらしく笑顔で「了解!」とだけ言った。
……それにしても。
チラリ、と隣にいるセンパイの方を見た。
センパイは細い。同年代の男子と比べても細い。しかしただ細いという訳ではなく、程よく筋肉がついているためか弱そうな印象はうけない。しかしその体のどこにニンニク野菜マシマシチャーシュー追加したラーメンが入るのだろうか。
「………あの」
しまった。じっくり見すぎてしまったのだろう。センパイは少し控えめに笑いながら(苦笑いとも言う)私の方を見てきた。
「すみません」
「いえ。大丈夫ですが…。僕に何かついていましたか?」
「あの…、えっと……」
センパイの体は細いのにどこにそんなラーメンを食べる余裕があるんですか? …なんて言ったら体をジロジロ見ている変態だと思われるだろうか?
「……………なんでもありません」
「物凄く間がありましたけど」
「気のせいです」
既に変態だとは思われていると思うが、これ以上変態のグレードをアップさせる訳にはいかない。私は頑なに首を振る。
するとセンパイもこれ以上は聞くまいと話題を変えてくれた。
「そういえば優良さん。冬休みなのですが、いつ頃暇でしょうか?」
「そうですね…、今週いっぱいはバイトお休みもらってます! といっても宿題を終わらせるためなんですけどね」
「ほら。私、いつもギリギリまで残しちゃうタイプなんで」と続けるとセンパイは少し考え事をしてから口を開いた。
「それでしたら明日明後日と一緒に勉強しませんか?」
「いいですね! 2日連続でセンパイに会えるなんて嬉しいです!」
「そうですね。きちんと用意をお願いしますね」
「かしこまりました!」
「優良さんは宿題だけで着替えを忘れそうなんで後で確認の連絡をしますね」
「……へ? 着替え…?」
「えぇ。お泊まりで宿題をしましょう、優良さん」
「おと、まり…?」
「えぇ」
「きゅっ!」
私はお店の迷惑にならない程度に声を出す。
「急すぎませんか?!」
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