「センパイ、虚しいです」


「癒されますね…」


センパイはそう言いながら膝の上にいる猫ちゃんを撫でる。しかし気持ちよさそうに撫でられていた猫ちゃんだったが急に気分が変わったのかピョンッ、とセンパイの膝の上から降りて伸びをした。


「おやおや。気分が変わってしまいましたか」


「残念ですね…」


なんて言いながら私はとあるものを探して辺りをキョロキョロしてみる。入口の近くにガチャガチャがあり、どうやらお目当てのものはそれのようだった。


「センパイ、あっちにおやつガチャがありましたよ!」


──寄ってこないのならこっちから寄ってきたくなるようにすればいい


これが私の持論である。


とどのつまり、猫ちゃんが来てくれないのなら、猫ちゃんが来たくなるようにすればいいのだ。猫ちゃんが来たくなるもの。それはおやつである。


ガチャガチャをすればおやつがもらえると理解している猫ちゃんたちはきっと寄ってきてくれるだろう。これでモテモテである。


「一回100円ですね。お買い得です」


センパイとガチャガチャの前に行くとよちよちとやってくる猫ちゃんたち。このガチャガチャが入場料とは別のため、お財布から100円を取り出して回してみる。


カラン、と音がしてガチャガチャの中からカプセルが出てきた。中にはおやつが入っており、振って音を出すと猫ちゃんたちがまたチラホラとやってくる。


センパイもガチャガチャをしておやつをゲットしたようだ。カプセルは返却式のため、返却ボックスに入れる。


「わっ、たくさん来た!」


カプセルを開ける前から猫ちゃんは来ていたがおやつをカプセルから出すとまたチラホラとやってきた。何だかモテたようでにやけてしまう。可愛い猫ちゃんたちだ。


「は〜い。あげますからね〜」


先程のソファーに座り、猫ちゃんたちにおやつをあげる。中には膝に乗ってきておやつが欲しい、とおねだりする猫ちゃんまでいた。


センパイはどうだろう、と隣を見てみるとやはりセンパイの方にも猫ちゃんたちはやって来ていた。


「いいですな…。ここはオアシスですか…」


「癒されますね」


「浄化されていく気分です…」


猫ちゃんにモテる事がここまで浄化されていく気分だったとは…。


しかししばらくしておやつがなくなると猫ちゃんたちは興味が薄れたのか各々散らばってしまった。


「センパイ…」


「何でしょう」


「なんだか虚しいです…」


「そうですか…。それは困りましたね」


「猫ちゃんパワーが足りないです!! もう1回お菓子買ってきます!!」


「ふふ。まるで薬のようですね」



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