「センパイ、それって…」
「今日は楽しかったですね! 雪だるまなんて久々に作りましたし! あー、雪合戦もしたかったですね!」
「そうですね。今度やる時はマフラーと手袋をしてからやりましょうね」
まるでお母さんみたいな事を言うんだな、と内心頬を膨らませたがセンパイがお母さんなのはなんとなく想像がつく。お母さんと娘、という立ち位置に今後ならないかが心配である。
「わかりました! マフラーとか一昨年のやつなんでもうボロボロかもですね…。手袋は今年のなんですけど…」
マフラーや手袋にも流行りというのがあるのだろうか。もしそうならば一昨年のマフラーなんて昔昔の話ではないだろうか。
「センパイ! 明日とかって暇ですか?」
「明日ですか? 勉強をしようと思っていましたが…」
「えっ。テスト終わったのに勉強するんですか?」
「えぇ。冬休みの宿題もそろそろ渡されますし…。勉強している事に越した事はないでしょう?」
「うっ、さすがですね…」
センパイのド正論に何も言えなくなる私。冬休みの宿題なんて提出期限の早いものからやって遅いものはギリギリまでやらないスタイルの私からしたらセンパイは本当に優等生だ(ちなみに提出をしなくて良いものはやらずにゴミ箱である)。
「もしかしてデートのお誘いでしたか?」
「デデ…っ!」
付き合って約3ヶ月。未だに“デート”という言葉はなれない。センパイの口から出るだけで恥ずかしくなってしまうところがある。
しかしこれはセンパイが言うから恥ずかしいのであって、自分から言うのは全くもって恥ずかしくないのが不思議。
「すみません。無粋でしたね」
センパイは申し訳なさそうな表情をする。
「いえ…、あっ。センパイも受験生になりますし…。マフラーはえみと見に行きます…」
「そうですか? 僕は優良さんと行きたいのですが…」
センパイの邪魔はしたくない。
でもセンパイとデートはたくさんしたい。
矛盾が頭をクルクルと回る。
「……そ、それなら…」
そんな思考の中、たどり着いた答えを私は口にする。
「それなら…、冬休み。1度だけセンパイの一日をください」
カァァ…、と顔が熱くなって何を口走ってしまったのか、と少し後悔する。
今どきアニメでも言わないぞ、と自分のした事に後悔をしながら私は「やっぱり…!」と訂正しようとセンパイの方を見る。
「いいですよ」
センパイの方を向くと両頬を包まれ、センパイと距離を詰められる。目の前には視界いっぱいのセンパイ。
「一日、といかず二日にしましょう」
「………へ?」
「優良さん」
パッ、と両頬を包み込んでいた手が離される。
「お泊まり会、しませんか?」
「え?」
ええええっ!!!!!!
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